感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
火曜日
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ドイツナショナリズムとルター再発見のイデオロギー性、ワイマール期の社会や文化としての「プロテスタント」と宗教としての表現主義などを前提に、編集の概念を拡大し「優れた編集なしに思想はこの世に広まり得たか」「著者と編集者の思想を厳密に区別することは可能か、必要はあるか」などの問いを読むにつけ、やはり著者の引用論文「捏造」事件には筋があると思う。氏は不在の神、不在の著者の編集者ではないか。ミュンツェンベルクやゲッベルスに一章割かれているほかエルンスト・フォン・ザロモンも一瞬登場。2022/11/22
はるたろうQQ
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思想も教会や大学の拘束から外れ自ら自立の道を歩むと、市場における商品として扱われるようになり、需要と供給の論理に晒されていく。その際、生産者=思想家と消費者を繋ぐのが編集者で、天使にも悪魔にもなれる。IT化による編集者の不在が思想家に自由と市場支配をもたらすことについても言及されている。書物はどんな内容のものでも書かれれば著作権が発生する。この著作権には財産権としての側面と人格権としての側面がある。市場での価値を有しつつ人格の発露でもあるというのだ。この調整をどう取るべきか、本書の結論もそこにあるようだ。2018/09/09