ヤバい神―不都合な記事による旧約聖書入門

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  • サイズ 46判/ページ数 252p/高さ 19cm
  • 商品コード 9784400119081
  • NDC分類 193.1
  • Cコード C1016

内容説明

“子どもを殺せとか、ムリでしょ!”旧約聖書には、神が残酷で好戦的で横暴だという印象を与える記述が少なくない。アブラハムに愛息イサクを捧げよと命じるとはあんまりではないか。そんな箇所をどう解釈すべきか。多くの人が疑問を抱くテキストを旧約聖書学の第一人者が取り上げ、それらの表現の意味と理由を考察し、神の真の「人柄」に迫った異色の書。

目次

序論 人間に挑みかかる旧約聖書の神
第1章 神は男性か
第2章 神は残忍か
第3章 神は好戦的な暴君か
第4章 独善的な神の前に人間は罪人に過ぎないのか
第5章 神は暴力と復讐の神なのか
第6章 神は理解可能か
結論 旧約の神と新約の神

著者等紹介

レーマー,トーマス[レーマー,トーマス] [R¨omer,Thomas]
1955年、ドイツ・マンハイム生まれ。1984~1993年、ジュネーヴ大学講師、准教授(ヘブライ語およびヘブライ語聖書担当)。1993~2020年、ローザンヌ大学神学・宗教学部教授。2008年よりコレージュ・ド・フランス教授、「聖書とその文脈」講座担当。現在は学長も務める。著書多数

白田浩一[ハクタコウイチ]
1977年、茨城県下館市(現・筑西市)生まれ。国際基督教大学教養学部人文科学科卒業、同大学大学院中退(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

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trazom

102
タイトルだけ読むとアンチ・キリスト教かと見紛うが、著者は旧約学の碩学だし、新教出版社だからそんな心配はない。男尊女卑で残忍で好戦的で独善的で暴力的な旧約の神は、一見してヤバい神だ。著者は、テクストが書かれた歴史的状況を踏まえ、冷静な反証を試みる。そして「旧約聖書の中で神のヤバさだと思われているものは、実は、私たち自身のヤバさなんだ。それを私たちに気付かせるための神の振舞いなんだ」と。でも、愛する子を生贄に捧げるアブラハムやエフタの辛さ、ヨブの苦悩、コヘレトの空しさが、そんな詭弁で救われるのだろうか…。2024/01/22

たま

59
柄谷行人さんが昨年末〈今年の3冊〉として『旧約聖書がわかる本』と共に選んだ本。『旧約聖書…』が面白かったのでこちらも読んだ。著者のレーマーさんはコレージュ・ド・フランス教授で聖書考古学・文献学の学識に基づき、平易な言葉で(手心は加えずに)旧約聖書の神の不可解さを語る。旧約を鵜呑みにする/否定する立場への反論が著述の動機でその目的は充分果たされている。「不可解さを解明する」(柄谷)と言うより事象のいっそうの複雑さが露呈する印象もあるが、歴史的に押しつけられてきたイメージの知的で誠実な再検討に感銘を受ける。2023/06/26

ネギっ子gen

58
【旧約聖書には、神が“残酷で好戦的で横暴だ”という印象を与える記述が少なくない】多くの人が疑問を抱くヤバい箇所を旧約聖書学の第一人者が取り上げ、それらの表現の意味と理由を考察した書。著者は、<神は弱者をいじめ、残忍で好戦的で理解不能であるように見えるテクストを強調することは明らかに危険である。それを根拠に、旧約聖書の神は新約聖書の神と全く関係がないと結論を出す人がいるからだ。しかし、こうした難解なテクストを検討することで、それらがきわめて特別な歴史的状況の下に書かれたことが理解されるよう願っている>と。⇒2024/02/07

singoito2

9
読友さん切っ掛け。原題はDieu Obscur。旧約各文書の背景事情に帰因する多様性と、その多様性を整合させるための解釈が多様性を増幅する結果、二重にObscur=曖昧な、ほの暗い神となる、というお話。基本的には護教的に書かれているのだけれど、けして押しつけがましくないところが良い。2世紀に旧約聖書を拒否した異端指導者マルキオンの思想が、ハルナックやブルトマンにも見られるという序章の説明に、我が意を得たり、と思ったのです。2023/04/25

amanon

7
興味深い内容ではあったが、旧約聖書を深く読み込んでないと、理解し辛い記述が多く、未消化感が強いというのが正直なところ。旧約聖書や紀元前のユダヤ教の世界だけでなく、その周辺の文化にも触れているのが、とりわけ興味深かったか。そんな古い時代まで歴史を遡ることができる民族が今日まで存続し、ユダヤ教を信仰しているという事実に改めて驚愕。それはともかくとして、旧約の記述に様々な問題を孕んでいるという指摘は以前からされていた。それにも関わらず、旧約は新訳と同じく、様々な文化に影響を及ぼしたという事実の重要さを痛感。2023/02/13

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