感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
こばまり
46
【再読】私の青春時代は岡崎京子先生なくしては語れません。今振り返ると、若さにつきものの過剰な自意識や、モヤモヤしたものを吸い取ってくれていたように思えます。2015/05/13
ぐうぐう
12
とても複雑な気持ちになる。『ヘルタースケルター』終了直後に始まった新連載『森』の第1話が、本書には収録されている。1話が描かれた直後に事故に遭い、岡崎京子は私達の前から姿を消した。その後、くわしい容態が伝わって来ないまま、初単行本化や、未収録作品集、新装版があいついで刊行されていく。いつか復帰するのではないかという、わずかな希望を残しながら。しかし、事故から15年後の、この『森』の単行本化は、その希望を打ち砕くかのようなインパクトがある。(つづく)2011/09/18
うる
4
未刊の作品が載っている作品集。 表題作の森はとても続きが気になる。全三話で予定されていたようである。 複数の短編とイラストが沢山載っており、今の時代でも楽しんで読むことが出来る。 彼女の他作品も更に読み続けたい。2022/12/19
なまけもの
2
未完の名作。過去作品を順に追っていくと鼻の穴とどこか目の据わった重いまぶたの表現が確立されてくるのがわかる。90年代を生きた若者の「顔」の象徴だなと思った。2021/05/25
3syk
2
岡崎京子、不幸な事故前の未刊作品である『森』の第1話を含む短編集。随分と久しぶりに岡崎京子を読んだのだけれども、その奥行の深さに目眩がしてしまった。そうだ、「これが岡崎京子なんだよ!」と肌感覚で思い出せた事は大きい。その他の作品は85年から95年迄の未発表短篇を集めたモノなんだけれど、「終わらない日常」や「世界の深淵」をふと感じさせる場面の切り取りは小気味良いし、大山田君が登場する『タルカム・パウダー』は珠玉の作品。けれども『森』を読んだ僕にはそれ等も霞んで見える。そうさせる位の力を『森』は持ってる。2011/10/12