内容説明
アパレルメーカー「ビータイド」に勤める佐和理世は、自らが提案した企画が採用され、新ブランド「スウ・サ・フォン」の立ち上げメンバーに選ばれた。そんなある日、カフェに展示されていたバッグのデザインに衝撃を受けた理世は、その作者・小鳥遊美名をメインデザイナーにスカウトする。色白で華奢、独特の雰囲気を纏う美名の魅力とその才能に激しく惹かれる理世。社内でのセクハラ事件をきっかけに二人の距離は一気に縮まるが、やがてその親密さは過剰になっていく…。
著者等紹介
飛鳥井千砂[アスカイチサ]
1979年生まれ。愛知県出身。2005年『はるがいったら』で第18回小説すばる新人賞を受賞しデビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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モルク
135
アパレルメーカーに勤務する理世は、新ブランドのデザイナーにコトリをスカウトする。新ブランドのはヒットし、ふたりの新密度は増す。そして次第にジワジワと不穏な空気が漂ってくる。コトリのように気を引いたり自分を守るために相手を陥れたりする人って確かにいるよね。だから、人とのつきあいって距離感が大事。ただ、相手を突っぱねて離れられる関係ならいいが、仕事がらみや今後とも付き合っていかなければならない場合など、相手の機嫌を損ねることなしに離れることはできないかと考える苦痛。理世の彼氏が親身になってくれる人でよかった。2018/10/11
taiko
131
ざわざわと、常に嫌な気持ちがつきまとう話でした。 理世が受けたセクハラ、美名からのパワハラとも言える悪意のある嫌がらせ、仕事での付き合いで、逃れられない環境の中ですり減る感じが読んでいてきつくて仕方がなかったです。 美名があの様な行動をとる人になってしまった原因を思うと気の毒にも感じますが、やっぱりダメ。 「自分だけ元気で、親しい人を傷つけながら生きていく」と言われてしまっても仕方の無い事なのだと思います。 その後もまた新たな出会いで、元気にやってる様子ですし。→続く 2018/03/07
yuyu
117
ぞわっ、ナイフじゃなくても人は人を傷つけられる。そんな傷のほうがダメージは大きい。主人公・理世はアパレル会社のマーチャンダイザー。彼女が携わる新ブランド「スウ・サ・フォン」のデザイナー・コトリこと美名。二人の出会いから、蜜月時代を経て、ホラーにも近い女同士、人間同士の確執の時期。なんとも言えないざらついた感情が身体の中に走る。法では裁かれない罪。罰することが出来ないもどかしさ。被害者の傷は深いが、そんな傷を忘れるくらい幸せになってほしい。2018/05/27
タックン
111
アパレル業界を舞台にしたお仕事小説かと思ったら途中から何ともいえないイヤミス感ただよった展開になって・・。最近の自分の心境からすると正直読むのは辛いタイプの話だし、みなさんのように一方的にコトリさんを責めることはできない気もした。逆に真っすぐな理世がまぶしいし嫉妬すら覚えた。でもやっぱコトリさんは才能はあるけど異常かな? この作品、いい脚本・優秀な監督・いいW女性キャストに恵まれたら素晴らしい映画になるような気がするので映画化に期待したい。最後に題名が素晴らしい。2018/03/01
うどん
107
飛鳥井千砂さん大好きな作家さんです。今回も面白かった!最初は主任の話でハラハラしましたが、後半になるにつれ…!!一気読み。2018/01/31