出版社内容情報
朝井まかて[アサイマカテ]
内容説明
明治天皇崩御直後、東京から巻き起こった神宮造営の巨大なうねり。日本人は何を思い、かくも壮大な事業に挑んだのか?直木賞作家が、明治神宮創建に迫る書下ろし入魂作!
著者等紹介
朝井まかて[アサイマカテ]
1959年、大阪生まれ。甲南女子大学文学部卒業。2008年、『実さえ花さえ』(のち『花競べ』に改題)で第3回小説現代長編新人賞奨励賞を受賞して作家デビュー。2014年、『恋歌』で第150回直木賞、『阿蘭陀西鶴』で第31回織田作之助賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
starbro
296
朝井まかて、2作目です。昨年、明治神宮の写真集を読み興味を持っていたので、読みました。明治神宮の創建の立役者か明治神宮のコンセプトを考案した人が主人公なのかと思ったら違いました。少し肩透かしをくらったようで、あまり物語に入り込めませんでした。明治~大正時代を生きた市井の人々も大変だったと思いますが、明治天皇もかなり苦労をされたんでしょうネ。いずれにしても明治神宮の存在が都心にあること自体が素晴らしい。2016/10/02
あすなろ
151
近代君主像を体現しなくてはならなかった明治天皇。その察するに葛藤の時代を奇跡と捉え回顧する大正になれば、あれ程、1人の死を国民が固唾を飲み見守った死がかつてなかったことを讃えるため、造宮事業をも行うこととなる。これらのエッセンスから、メインテーマはなんだろう独自考える。僕は、明治天皇を国民たる登場人物達が思いを馳せ、明治という時代を大正から省みることかと思った。その象徴として、明治神宮の造宮事業が描かれる。しかし、朝井氏の作品はますますその独自なる描写感に磨きをかけてきたことにも嘆息した作品。2016/09/27
なゆ
145
明治~大正といえば苦手な時代なので、時間もかかってものすごく手こずりながら読んだ。でも、苦労しながらも読んでよかった。いつか明治神宮に行って、まだ未完成ながらもしっかり根付いた木々に囲まれてこの本に出てきた神宮創建に関わった林学者達の思いを感じたいと思う。神宮造営へと人々を向かわせたその根源、明治天皇がなぜこれほど国民の尊崇を集めるのかといった事は、今の世にも繋がるソボクなギモンだと思うので、こちらの方にも話が広がったのはよかったと思う。いろいろと勉強にもなり、静かにしみじみともなれる良作。2016/10/21
岡部敬史/おかべたかし
134
明治神宮の森の造営を題材にして、明治とは何か、明治天皇と昭憲皇太后はいかなる人だったかを丁寧に描いた作品。朝井まかてさん、初めて読みましたが、物事の描きかたがちゃんと踏み込みつつ題材に敬意を払う振る舞いがとても洗練されていて読み心地がよかった。また読みたいなと思いました。明治天皇が戦で亡くなった人を思って作られた御製《国のため たふれし人を惜むにも 思うはおやのこころなりけり》が心に残る。また明治神宮の森に行きたくなった。2020/11/15
テクパパザンビア
130
面白かった。明治神宮の杜にはこんな歴史があったとは知らなかった。昭和天皇崩御の時を思い出した。京都から東京に栄転された明治天皇も大変だったようで…。『国のためたふれし人を惜むにも思ふは親の心なりけり』死後 京で眠れて良かった。2017/04/07