内容説明
老舗おもちゃメーカーに届いた脅迫メール。2億円に相当する金貨を1週間以内に用意しろというのだ。お客様相談室の佐伯は警察の協力を仰ぐよう訴えるが、会社上層部は秘密裏に犯人への接触をはかるよう指示。風評被害を恐れ、消費者の安全を考えないのだ。会社のやり方に憤りながら調査を進める佐伯は、3年前に起こった自社製品のトラブルに注目した。あの事故のクレーマーが脅迫犯では?だが居場所を突き止めた佐伯を待っていたのは驚愕の事実だった…。企業のあるべき姿を問う衝撃作。
著者等紹介
保科昌彦[ホシナマサヒコ]
1963年香川県生まれ。2003年『相続人』で第10回日本ホラー小説大賞長編賞を受賞し、角川ホラー文庫よりデビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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Eddie
5
不快感しか残らない最悪な上司。 長いものに巻かれてしまう主人公。 ムカムカいらいらしまくりでしたが、同じ立場になれば自分も主人公と同じだったかも....。 終盤は展開が駆け足過ぎて軽く流してしまった感があってちょっと残念でした。2023/12/16
ちゃんちゃん
4
脅迫者は誰なのかを探るミステリと思いきや、メインは脅迫された玩具メーカーを描く企業ものな印象です。読んでいて辟易するほどの上司のお粗末さはいかがなものかと。自らの意思や社会倫理、保身と様々なキモチを抱えながら走り回る佐伯には物悲しさを感じましたけどね。2011/04/28
ともも
3
読みやすい文体でした。数々のクレーマーがリアルで興味深かったです。最後は物足りなかったかな。2017/03/05
Uたロー
2
会社の「臭い物に蓋」体質に憤りを感じつつも、それに従わざるを得ないサラリーマンの悲哀・葛藤が上手く表現されていると思う。ただ、ミステリーとしてはやや物足りないかな。2013/10/26
鈴と空
2
スーパーヒーローでも正義の味方でもない佐伯の姿や葛藤が面白かった。あれだけお粗末で残念な人たちが出世できてしまうのが「旧態依然」と言われるところなのか。脅迫犯の正体だとか、事件の行く末だとか、色々気になって一気に読んだんだけど、最後はちょっと。したことの幾つかがなんだか嫌な感じが。2011/09/23