内容説明
マグナ・カルタ、フランス革命、合衆国憲法から天皇機関説、保守合同、小泉劇場、安倍政治まで―。保ち守る「保守」なのに改憲を求め、革新の「リベラル」が護憲を望む、それ、どうして―?
目次
なぜ、「保守思想」について語るのか?
第1部 保守思想の世界史(「保守」VS「リベラル」の起源;フランス革命と保守主義;アメリカの「保守」と「リベラル」;日本近代の「復古」と「保守」;天皇機関説と超国家主義)
第2部 敗戦後日本の保守政治史(敗戦から安保闘争まで;高度経済成長の時代;田中角栄の時代;レーガン・中曽根時代;竹下派支配による失われた10年;新自由主義(ネオリベ)×新保守主義(ネオコン)の小泉政権
マスメディアVS安倍晋三)
第3部 戦後「保守論壇」の10人(なぜ、「保守論壇」について語るのか?;小林秀雄;江藤淳;福田恒存;山本七平;司馬遼太郎;三島由紀夫;渡部昇一;小室直樹;高坂正堯;西部邁)
著者等紹介
茂木誠[モギマコト]
歴史系YouTuber、著述家、予備校講師。駿台予備学校、ネット配信のN予備校で世界史を担当(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ta_chanko
18
コモン=ローを重視し、議会主権にもとづく立憲王政を確立したイギリス。理性(啓蒙思想)を重視して共和政を樹立したものの混乱を極めた(恐怖政治や軍事政権)フランス。日本では啓蒙思想や社会契約説が殊更に取り上げられ評価されているが、一方でバークらの保守思想はほとんど取り上げられることはない。歴史・伝統・慣習など先人が積み上げてきたものを無視or軽視して、理性によって改革や社会設計をしていくことは非常に危うい。人間の脳はそれほど賢くないし、過去の延長上にしか現在や未来は存在しない。2021/07/04
tomo
14
☆☆☆ 「保守」は進歩を否定するものではなく、伝統を継承しつつ、時代に合わせて改善していくものだ。(E・バーク) 保守って言うと、昔のままで新しいものは認めーん、みたいな頑固爺さんを想像します(偏見!?)が、世の中を根本から変えてしまうような変化は好まないわけで。その点フランス革命は、美しいイメージとは違って相入れない。ドイツに惨敗したWW2でも、ちゃっかり戦勝国の一員に収まったフランス。CFAで今だにアフリカ旧植民地を支配し、親中を隠さずNATO東京事務所開設に反対するし…信用できない国だな。2023/07/30
KAN
11
こういう先生から世界史、そして日本近代史を教わったらもっと社会を良くしていこう、という若者が増えるのではないかと思う。自分が中学生(70年代後半)のころ、北朝鮮を「朝鮮民主主義人民共和国」という正式名称を強調して、これこそ「民主主義」国家なんだ、と教えてくれた社会の先生がいた。田舎の学校だったけど、そうやって民主主義というものを刷り込まれていたんだ、ということがはっきり自覚したのは90年代になってからかもしれない。渡辺昇一を愛読していたにもかかわらず。そのくらい教師の思想や歴史観って影響が大きいなと思う。2021/12/30
TheWho
10
昨今の日本保守党騒動において改めて保守主義の定義を再確認する為手に取った一冊で、異色の世界史予備校講師が、世界史的観点からの保守思想から日本の保守政治の変遷、そして戦後の日本本の保守思想家を語っている。例えば「保守」の言語的意味は、「正常な状態を保つこと。」とされ、改変を求めるのは、革新とされる。しかし現状が正常か異常かの判断で、保守の意味合いが変わってしまい、これが、現在の保守論争に繋がっているかとも思う。改めて日本的保守思想、保守哲学を考えさせる意味深い一冊です。2025/03/29
リットン
10
本自体は立場を主張せずに歴史を教科書的になぞる本かと思ったら、かなり著者の主張が強い本だった。ちょっと本の表紙の感じと中身がだいぶ違う気がするんだが。。日本の戦後の歴史のことを正直良く知らないし、記憶があるのはせいぜい小泉内閣くらいからで、どっちが保守かもよくわかっていない。正直、この本をざっと読んで、あれ、結局保守ってなんなんだっけ?となったな。。とはいえ、普段日本の政治を振り返って、良し悪しの主張を周りから聞くことはないし、こういう見方もあるんだなあと勉強になった。2022/01/27