内容説明
常識から目を覚ますために。大いなる知性が紡ぐ「考えるための道しるべ」
目次
第1部 考えるための道しるべ(知識とは何か;自分の頭で考えるために;文科系学問は役に立つのか)
第2部 学問と実存(フランスへの道のり;フランス大学事情;何がしたいのか、何ができるのか、何をすべきか)
異邦人のまなざし
著者等紹介
小坂井敏晶[コザカイトシアキ]
パリ第八大学心理学部准教授。1956年愛知県生まれ。アルジェリアでの日仏技術通訳を経て、1981年フランスに移住。早稲田大学中退。1994年パリ社会科学高等研究院修了、リール大学准教授の後、現職(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
KAZOO
115
この方の「社会心理学講義」を読んで非常に感銘したのと出口さんが推薦しておられるので手にとって見ました。ご自分の経験を中心にフランスの大学での出来事などを綴られています。私は第4章のフランスに行くまでのところが非常に面白く沢木耕太郎さんの「深夜特急」を思い出してしまいました。2018/08/21
踊る猫
31
小坂井敏晶の本を読むといつも(かなりクサい言い方をするが)「知的好奇心」が刺激されるのを感じる。豊富なネタを、しかし散漫に感じさせないだけの豪胆な筋の通し方を以て料理し、こちらに提示する。器用なようで不器用にも見えるその不思議な著書の魅力は、そのままこの著者の生き様/生き方の魅力でもあるようだ。青春時代の文字通りの放浪の過程、そして学者になってフランスの地で体感した「異邦人」としての自分、それから今に至るまで。道に迷った時はこの本の教えに従って、時には流されながらも一歩前に進み意識を変化させる勇気が必要だ2023/01/10
はるわか
27
「地獄への道は善意で敷き詰められている」。敵は我々自身だ。善意の蔭に潜む罠を暴こう。中世の宗教裁判や魔女狩り、ナチス・ドイツ、ソ連、中国の文化大革命、カンボジアのクメール・ルージュ、日本の大政翼賛会や特別高等警察も、正しい世界を作ろうとした事実を忘れてはならない。正しい世界の構想を誤ったのではない。普遍的真理や正しい生き方がどこかに存在するという信念自体が危険なのだ。世界から答えが消え去った。「答えのない世界」とは近代のことである。2018/03/26
りょうみや
24
「社会心理学講義」「神の亡霊」に続いて小坂井氏の本3冊目。およそ2/3が著者の自伝の構成。主な主張は他書でもほとんど触れらているが、また少し違った角度から眺めることができることもありよい復習になる。前半の文系学問を学ぶ意義が印象的で、過去の偉人たちの考えをなぞることにより、様々な思考の型、見方を身に付ける。この世は絶対に正しいもののない答えのない世界であり、ひたすら考えていくしかない。「人間の原理的な限界に気づく」それ以外のことは重要でないと言い切る。2018/11/09
踊る猫
22
短文でテキパキと進む論理に導かれて、一気に読んでしまった。だが、読み返さないとこの本の真価はわかるまい。私自身不惑を過ぎ、もう自分は何者にもなれないと悩んでいる時に読んだので「前へ進め」と諭してもらったような、そんな気になった。ジャンルを越境して軽々と著者の連想は展開する。そこも、私のような不器用な(?)読者には有難かった。専門バカになるより(なってもいいのだけど)、自分の道を突き進め、と教わったようで……なるほど「答えはない」。私の悩みなどありふれたもの、凡俗のものなのだろう。その真理が優しく開陳される2021/01/13