内容説明
イザベラ・バード『朝鮮紀行』の4年前に出版されながら、長らく黙殺されていた“幻の書”が、待望の現代語訳で、120年ぶりの復刊!村落、市街、商売、差別、喧嘩、冠婚葬祭、性風俗、日本人居留地…日本人が記録した、日清戦争前夜の朝鮮半島の姿。
目次
駕洛という国号
駕洛食
大中小華
石無情
残飯を貧ろうとする
食うという言葉
紙幣を評する
詩話を好む
夏の旅行
官人は、みな盗賊〔ほか〕
著者等紹介
スピルマン,クリストファー・W.A.[スピルマン,クリストファーW.A.] [Szpilman,Christopher W.A.]
1951年ポーランド生まれ。2005年から2015年まで九州産業大学教授。ロンドン大学アジア・アフリカ研究院(SOAS)日本学科卒、エール大学大学院歴史学研究科博士課程修了、博士(PhD、日本史)。専門分野は、近代日本政治思想史。とくに、国家社会主義やアジア主義の研究に定評がある(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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あんこ
14
125年前の朝鮮半島事情。衛生状態は劇的ビフォーアフターなんだけど、民族的な根っこみたいなものはあまり変わってないような気がする。2019/05/17
くりりんワイン漬け
13
120年以上前の朝鮮について日韓併合前後の日本人から見た朝鮮人の生活をとてもシンプルに説明している本です。事大思想というのでしょうか、これは120年脈々と受け継がれてきているのでしょうか。本書はあくまでもある日本人の視点ですから、次回はその他の外国人がみた朝鮮記をよんでみようと思います。2017/05/14
ミナ
8
朝鮮ってこんな感じだったのかと。見聞きしたことがそのまま書かれているからわかりやすいけど、もっと知りたいよとなるくらいあっさりめのところはあっさり。「牛肉は、たいへんよく嗜む」とあったけど、焼肉文化はこんな時代からなのねとか東学党の首魁と会って話した時は秀吉の朝鮮出兵で朝鮮側が勝ったと思っているから訂正するくだりがあり、歴史を変えてしまうところはこんな時にもあったのねとか。発見いろいろ。2021/08/15
西澤 隆
7
日清戦争前夜の朝鮮紀行録は、先に西洋化を果たした自負から来る憐憫や優越感や嫌悪や…いろんな感情が渦巻く雑記録。とはいえある意味江戸末期に日本に来たひとたちの「野蛮人を眺める記録」としてのいろんな本もある意味似た部分がある。他者に遭遇し慣れていない時代に他者に遭遇した人は悪意なくこういう反応をするというある種の実験結果のようなものなのかも。日本人は朝鮮人女性の乳房を出した服を笑い、朝鮮人は日本人女性の着物の裾から見える足をはしたないという。それをお互い様だと思う視点は当時の人としては希有なものかもしれません2019/08/27
二人娘の父
6
ドラマ「緑豆の花」からの流れで読んでみましたが、非常に面白かった。著者である本間九介氏は謎の部分もあるようですが、1894年=明治27年の日本人の思考や感性から見る朝鮮の姿が非常にリアリティがあり良い(ちなみに多分、夏目漱石と同世代の人物)。この間読んできた歴史書に色を付けてもらったような感覚。本書の肝は監修者であるスピルマンという人物の解説にあるとも言えます。不勉強なのでこの人物のことはよく知らないが、アジアについてかなり詳しくて、そこにも驚きが。いずれにしても貴重な一次資料。2022/06/06