内容説明
「浮舟」「蜻蛉」「手習」「夢浮橋」の巻。薫と匂宮の間で懊悩する浮舟。大いなる余韻を残し、物語は終わりを迎える。林望畢生の大作、堂々完結。
著者等紹介
林望[ハヤシノゾム]
1949年東京生まれ。作家・国文学者。慶應義塾大学大学院博士課程修了。ケンブリッジ大学客員教授、東京藝術大学助教授等を歴任。専門は日本書誌学、国文学。『イギリスはおいしい』(文春文庫)で日本エッセイスト・クラブ賞、『ケンブリッジ大学所蔵和漢古書総合目録』(ケンブリッジ大学出版)で国際交流奨励賞、『林望のイギリス観察辞典』(平凡社)で講談社エッセイ賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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colocolokenta
27
20代男性、匂宮程度の好き者珍しくない。浮舟との房事の下りは官能小説。当時の人はこの辺りさぞドキドキして読んだのではないか。薫は八の宮のことを姫君達よりずっと慕っていた。薫は同性愛者で、女性は性愛の対象ではないからあれほど淡白だったのではないか。すごい物語だ。一方、浮舟の物語を読むうち、ふと玉鬘を思い出す。今も昔も女性は男次第、それとも千年前から男性が女性を虐げていただけか。日本の至宝、源氏物語全54帖読了。光源氏と過ごしたこのおよそ半年で私の人生は大きく変わった。これも謹訳のおかげ。林氏に深く感謝する。2015/11/21
ひさしぶり
22
光源氏と比べれば小粒ではありますが、昭和人間は誠意大将の薫の方が好きだなぁ。長かった物語が情けない程あっけない最期でモヤモヤというか余韻に浸るというか‥‥。ひとそれぞれが心散り散りに思い悩む様は時代が異なれど共感。本の頁の隙間から焚き込めた香、風に乗って聞こえる和楽、彩とりどりの色紙や衣、歌。おおいに堪能させて頂きました。🙏2020/06/10
tom
18
10巻で終わると思いながら読み進めて、最後の頁をめくり、おいおい、ここで終わるのかと。こんな中途半端な終わり方ないでしょというのが読後感。浮舟さんの今後がどうなるのか、気にはなるけれど、こういう面倒な人とは付き合いたくないから、どうでもいいか。それにしても、源氏が死ぬ7巻までの女漁りの物語と、以後の物語の違い、ほんとうに紫式部が書いたものなのか、不思議でならない。きっと、作者が違うという学説もありそうな。それなりにドラマティックな展開だったから、楽しんで読んだと言えそう。まあ、楽しみました。2024/05/21
ふたば
9
浮舟をめぐる薫と匂宮の三角関係。これまでのなかで一番おもしろかったかも知れない。これまでは、光源氏や薫などの男目線が主だったので今ひとつ理解できないところがあったけど、この10巻は浮舟目線が多くあるので、面白く読めたと思う。しかし、最後はすごい尻切れとんぼだった・・・。2013/08/20
ナツメ
6
達成感しかない笑。源氏物語全五十四帖、読み終わりました!(^^)! 匂宮と薫の板挟みに苦しんだ浮舟は自死を選びますがその後……。浮舟は終始振り回されてるなあ…本人の意志も確かに弱いけど、希代の貴公子二人に言い寄られて自分を保てる人もそうそう居ないよねえと。全五十四帖、長いようであっという間でした。登場人物はとても多かったですが、皆鮮やかに思い出すことが出来ます。やっぱり源氏物語は偉大だった……長い年月残ったのには理由があるとはっきりわかりました。また年を取ってから読み返したいなあ。2017/10/23