STAMP BOOKS<br> 飛び込み台の女王

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飛び込み台の女王

  • ISBN:9784001164121

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内容説明

「飛び込み台の女王」カルラは,ナージャの親友にしてあこがれの選手だった.たった一度の失敗が,すべてを変えてしまうまでは――.激しい変貌をとげる十代,エリート選手として飛込競技に打ち込む二人の少女は,周囲からの期待とプレッシャーにさらされながら,かけがえのない友情を育んでいく.ドイツ児童文学賞受賞作.

目次

カルラが飛ぶ┴プールに水がない┴悪魔のタトゥー┴頭と足の関係┴どこかあっちのほう┴彼女は飛ばなかった┴イクルーがインゴクルーになる┴五一三二D┴スタンダップ・フォー・ザ・チャンピオン!┴わたしたちのソフトキャンディー┴ブルートヴルストはなし┴わたしに?┴ヨゼフ、ヨハネス、ヨナタン┴まるで人が変わったみたいだ┴牛乳がない┴水面を突き抜けて┴世界中のすべての時間┴訳者あとがき

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

星落秋風五丈原

27
ナージャとカルラは、ドイツのスポーツ・エリート達が通うえりすぐりの学校にスカウトされた。本編は天才肌カルラその人ではなく、傍観者でありいつもロッカーを分けあって使っていたほど親しかった努力家ナージャの語りにより経緯を明かす。終盤でカルラが「‘自分にはもう背負えない重いもの’をナージャに渡した」と、自分が見た夢の事を話す。ナージャのカルラからの呪縛が解けた祝福すべき時なのか、或いはカルラにかけられた才能という呪いをナージャが新たに引き受けてしまった憂うべき時なのか、その判断は読者に委ねられている。2017/08/06

ぱせり

8
子どもたちは、ときには仲間の不調を喜び、好調を嫉妬する。それを醜いと思うナージャを幼ないと思うのは残酷だけど、この道を真剣に進むなら、結局、自分はたったひとりなのだ、ということをしっかりと胸に刻むしかないのだろう。飛び込みの美しいフォーム、静けさが、文章から伝わってくる。息を呑んで、この美しさ・静けさに結晶する、成長への激しさ・厳しさを見守る。 2018/01/27

Olga

7
思春期前半の少女が主人公のスポーツ小説として、これまで読んだなかでベスト。 訳者あとがきによると、執筆理由について作者は「スポーツに関する、まともな文学が存在しなかったからです。専門的に正しくて、ロマンチックすぎなくて、まじめにスポーツを描いていて、そのうえ、よく書けている本を、わたしは一冊も知りません。それを変えたかったのです」と語っているが、この本にはそのすべてがある。2017/08/12

くるり(なかむらくりこ)

7
13歳の少女の危うさは、最高7メートルの高さからプールに飛び込むこの競技にどこか重なる。競技場面はけっして少なくはなく精緻な描写なのに「スポーツもの」の熱や興奮はない。カルラとナージャの関係も秘密めいた空気を帯びていて、友情でもライバル意識でも恋でもない。その独特の抑制が、ラストで一気にダイナミズムに転換する。カルラが飛び込み台の女王だった理由、カルラに勝とうと思ったこともないナージャが今も競技を続けている理由。すごい、これは児童文学でしか書けない物語。リュック、物理、世界中のすべての時間。深い深い哲学。2017/01/28

鳩羽

7
飛び込み競技からスカウトがきたナージャとカルラは、そのままスポーツ・エリートの通う体育学校に進学する。寡黙で何を考えているか分からないカルラだが、飛び込みは誰よりも上手く、ナージャはそんなカルラに嫉妬することもなく、面倒を見るようにして付き合っていた。…べたべたしてる訳ではないのに不思議な一体感のある二人、その彼女たちが離れるとどうなるのかという話なのだろう。大会で優勝しても、インタビューで新聞に載っても、華々しい感じがせず、短い人生、何をしてもそんなに変わらないというような達観すら感じた。2016/12/11

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