内容説明
源氏の正室女三の宮は柏木との間に不義の子を生む。おさえきれぬ怒りとともに、人生の因果に愕然とする源氏。そして、最愛の紫上に死が訪れる―。
目次
柏木
横笛
鈴虫
夕霧
御法
幻
著者等紹介
林望[ハヤシノゾム]
1949年東京生まれ。作家・国文学者。慶應義塾大学大学院博士課程修了。ケンブリッジ大学客員教授、東京藝術大学助教授等を歴任。専門は日本書誌学、国文学。『イギリスはおいしい』(文春文庫)で日本エッセイスト・クラブ賞、『ケンブリッジ大学所蔵和漢古書総合目録』(ケンブリッジ大学出版)で国際交流奨励賞、『林望のイギリス観察辞典』(平凡社)で講談社エッセイ賞を受賞。『源氏物語』に関する著作、講演も多数。エッセイ、小説のほか、歌曲の詩作、能評論等も多数手がける(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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colocolokenta
25
光源氏の一代記はここまで。柏木、夕霧は伝説的いい男のそれぞれの両親(頭中将、光源氏)にあやかれなかった哀しいジュニア。生真面目で不器用な男たちの話は、このあとどうつながるのか。宇治十帖が楽しみ。紫上の女性の生き方の難しさへの感慨は当時も今も変わらない。紫式部がこうして指摘していたのに驚く。女性の生き方、いかなるものが理想か。そして、源氏。後悔先に立たず。紫上をもっともっと大事に慈しんでいたら良かったのに。ベタだけど、男女の仲、結局互いの信頼で、そのことで相手に不安を与えないことが大切だと感じる。2015/09/30
ひさしぶり
17
夕霧より後だけ図書館で拾い読み こっちの方が俗っぽくなくて好き。紫上没、悲しみ深い。2020/01/13
shimashimaon
7
絆を「ほだし」と読むことを初めて知りました。軽率で罪深い行いも、人々への批判も、最後は自らの苦悩として返ってきた。「ほだし」には自由を束縛するものという意味があるそうです。紫上を失って悲嘆に打ちひしがれるしかない源氏に自由はない。と思いきや中将の君。まさか。どきどきしました。「ほだし」は仏道の障りとしても使われるようです。紫上の法華経千部供養で、法華経が女性の成仏を認めた男女平等の経典であるとの認識が示されていて興味深い。苦悩する源氏が、それでも美しく光って見えたということは、より一層興味深いです。2022/11/27
ナツメ
6
第三十五帖『柏木』から第四十帖『幻』まで。第四十一帖『雲隠』は本文が無い帖で、光源氏の死を意味しているそうです。あえて文章で書かないことで、余韻といいますか、情緒が増しているような気がします。『夕霧』ではそれまで真面目だった夕霧が恋に狂います。似てない(好色家と真目男)と思わせて、似ているところ(強引に物事を進める)もあって、でもやっぱり似ていない(何とかなる源氏とならない夕霧)この親子、結構好きです笑。でもその後の『匂兵部卿』の帖ではどちらの妻とも上手くやっている様子が書かれていますし、流石ですね笑。2017/10/01
あいくん
4
☆☆☆☆第七巻は、柏木、横笛、鈴虫、夕霧、御法、幻が収められています。源氏の48歳から52歳です。紫の上は43歳になります。紫の上は子どもを授かりませんでした。紫の上の命はふっと消えてしまいます。紫の上が亡くなったことで、源氏は耐えがたい憔悴感に陥ります。紫の上の遺骸は荼毘に付されます。うっすらとした煙になってはかなく空に昇っていきます。源氏はどちらの女君のところへも通わなくなります。 桜の季節になっても亡き人のことが思い出されてしまいます。そして源氏も亡くなりますが、源氏が亡くなる様子は描かれません。2014/03/13
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