内容説明
とんち小僧として誰からも親しまれる「一休さん」は、禅院の世俗化を痛烈に批判し、森侍女との愛欲を赤裸々に詩いあげた反俗の禅僧でもあった。このあまりにも大きい落差を、どう考えたらいいのか―。一遍、道元、良寛、最澄と、日本の精神文化史上の巨峰に挑みつづけてきた著者が満を持して放つ畢生の書き下ろし巨編。
目次
一休との出逢い
酬恩庵一休寺にて
一休皇胤説を追う
時代のエネルギーと少年僧一休
「一休とんち咄」のリアリズム
蛇を一撃で打ち殺す
師・華叟との法縁
印可状破棄
兄弟子、養叟との対立
諸国放浪
絵入り法語「一休骸骨」
「狂雲集」と、一休の性
森女との至高の恋愛
住吉大社
最晩年のジレンマ
真珠庵への道
著者等紹介
栗田勇[クリタイサム]
昭和4年生まれ、東京出身。東大仏文科卒。フランス象徴主義の詩人・ロートレアモンの個人全訳(本邦初)を皮切りに、多彩な創作評論活動を展開。日本文化論の第一人者として知られる。昭和52年、『一遍上人』(新潮社)により、芸術選奨文部大臣賞を受賞。平成11年、紫綬褒章受章(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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