出版社内容情報
大人が忘れたかもしれない
他人を思いやる心。
自分で考えて生きるという力。
新中学生が林間学校で土砂崩れに襲われた。
極限状態に置かれた少年少女は――。
新中学生の長谷部幸男は憂鬱だった。都市開発の余波で、集落は地元派と新興住宅派に分かれ、学校で喧嘩が絶えないからだ。夏休み、自分の立場を曖昧にしたまま幸男は林間学校へ。わだかまりを抱えた少年らは荒天に襲われ、宿舎は土砂崩れに飲み込まれる。生存者は子ども九名だけ。極限状態の幸男らは闇に怯えながらも難所を越えることで、互いを理解し始めるが……。
内容説明
新中学生の長谷部幸男は憂鬱だった。都市開発の余波で、集落は地元派と新興住宅派に分かれ、学校で喧嘩が絶えないからだ。夏休み、自分の立場を曖昧にしたまま幸男は林間学校へ。わだかまりを抱えた少年らは荒天に襲われ、宿舎は土砂崩れに飲み込まれる。生存者は子ども九名だけ。極限状態の幸男らは闇に怯えながらも難所を越えることで、互いを理解し始めるが…。
著者等紹介
乾ルカ[イヌイルカ]
1970年北海道生まれ。藤女子短期大学卒業。2006年「夏光」で第八六回オール讀物新人賞を受賞し、デビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
タルシル📖ヨムノスキー
30
時代は1980年代前半。首都圏から電車で2時間弱の太平洋岸の地域。そこはリゾート開発の一環で作られた新興住宅地と、昔ながらの農業で生計を立てる人々が暮らす住民に二分された地域。この住民同士はいつもギスギスしていて、その余波は地域で唯一の中学校に通う子供達にも及んでいた。こういうことは全国各地にありそうで、大人たちのエゴに影響され振り回される子供達は、本当に可哀想。簡単にいうと林間学校中の災害で孤立した子供達が協力する中で成長する物語ですが、それだけではなくて社会的で重厚ななテーマを扱っている物語でした。2023/11/25
まるぷー
25
同じ中学校に通うニュータウンの子どもたちが昔ながらの谷津流の集落の子どもたちを田舎者だと嘲り笑う。お互いに対立するが、夏休みの林間学校に参加した両方の地区の9人は災難が見舞われる。宿舎が土砂崩れに遇い引率の教師が亡くなる。そして、9人だけで山中を彷徨う。次第に蟠りが解け生還するために団結する。禁足の社に避難したとき桐人が「困った人が使うところ」と幸男の祖父の言葉を解釈する。無事に帰還し「夏休みだからみんなで遊ぼう」と、大団円の終結は予想したが清々しくも逞しい中学生を見た。秀明と桐人の別れのモールスが悲しい2024/01/14
スプリント
8
プロットとしてはベタではある。 ただ想像以上にシビアな展開だった。 もう少し後日談を読みたかった。2023/12/13
ワンモアニードユー
3
中学生の課題図書にしたいところ。通り一遍の感動小説で終わらせないところがよい。2023/12/15
Hula
2
★★★★★2024/03/23