内容説明
藩の政が大きく変わる様を見届けるため、江戸から故郷に戻ってきた天羽藩上士の子・伊吹藤士郎と異母兄の柘植左京。家族や友と再会し、喜びに浸ったのも束の間、藩から登城せよとの命が下る。意図がわからぬまま、藤士郎と左京は揃って城に参上するが、そこで告げられたのは決して受け入れることのできない沙汰だった―。青春時代小説シリーズ、感動の完結編!
著者等紹介
あさのあつこ[アサノアツコ]
1954年、岡山県生まれ。青山学院大学を卒業後、小学校講師を経て作家デビュー。「バッテリー」シリーズで野間児童文芸賞、日本児童文学者協会賞、小学館児童出版文化賞を受賞。『たまゆら』で島清恋愛文学賞を受賞。児童文学から、ミステリー、SF、時代小説など幅広いジャンルで活躍している。著書多数(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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uuuccyan
24
藤士郎と左京は国元へ帰り、無事に母や姉、幼なじみの慶吾と再会する事ができた。ホッとしたのも束の間、今度は地震と山崩れが起こり藤士郎も巻き込まれてしまう。主人公だしまだ何も解決していなくてここでは死なないとわかってはいても、ハラハラドキドキ手に汗握った。様々な試練を乗り越えながらこの場所で生きていく。結局藩の騒動はうやむやなのだが、藤士郎や伊吹家の人たちにとっては希望のある結末なのかな。2023/02/22
鍵ちゃん
24
藩の政が大きく変わる様を見届けるため、江戸から故郷に戻ってきた天羽藩上士の子・伊吹藤士郎と異母兄弟の柘植左京。家族や友と再会し、喜びに浸ったのも束の間、藩から登城せよとの命が下る。意図がわからぬまま、藤士郎と左京は揃って城に参上するが、そこで告げられたのは決して受け入れる事ができない沙汰だった。思うようには行かないものだな。そういう藩はいつかは潰れるだろう。途中、迫力を感じたが、最後はなんだか腑に落ちなかったな。2021/09/07
やな
17
予想していた結末と違った。う〜ん(^-^;2020/10/23
eriko*
13
少年の成長物語としては、面白かったし、登場人物たちも魅力的なひとが多かった。が、よく考えてみると、藩は何も変わっていなくて。長いものには巻かれながら、自分らしく生きていく、って言うのが大人になったってことなのかと思うと複雑。2023/08/13
Y.yamabuki
13
シリーズ最終巻。一巻目では父の切腹に関わる謎に主眼が置かれ、その中で藤四郎の心の声、藤四郎の日々の暮しと人との関わりが描かれていたように思える。それが三巻目を読み終えて、本当に描きたかったのは、後者の二点だ と気付いた。武士の矜持ではなく、人としての矜持。一途な愚かさを失うこと無く、世間の知恵を身に付け逞しくなった藤四郎、この地に根を下ろしてしっかり生きていくのだろう。それぞれが自分らしい道をみつけ、踏み出したラストは、爽やか。ただ藤四郎と家族は、父に対して蟠りを抱いたままなのだろうか。2020/11/08