内容説明
犬森祥子、バツイチ、アラサー、職業は「見守り屋」。営業時間は夜から朝まで。様々な事情を抱える客からの依頼で人やペットなど、とにかく頼まれたものを寝ずの番で見守る。そんな祥子の唯一の贅沢は、夜勤明けの晩酌ならぬ「ランチ酒」。別れた夫のもとで暮らす愛娘の幸せを願いながら、束の間、最高のランチと酒に癒される。腹の底から生きる力が湧いてくる、絶品五つ星小説!
著者等紹介
原田ひ香[ハラダヒカ]
1970年、神奈川県生まれ。2006年「リトルプリンセス2号」で第三十四回NHK創作ラジオドラマ大賞最優秀作受賞。07年「はじまらないティータイム」で第三十一回すばる文学賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
さてさて
286
『夜の仕事をしている彼女にとって、ランチは一日の最後の食事となる』という仕事の後の食事の時間を大切に思う祥子。そんな祥子は仕事のことを、別居を続ける娘のことを思いながら日々の生活をひたむきに生きていました。『私は生きているし、健康だ。元気出そう。へこたれてなんかいられない』。次から次へとテンポよく『見守り』対象が、赴く街並みが、そして食の風景が展開する物語の中に、人々の心の機微が伝わってくる丁寧な描写が強く印象に残るこの作品。原田ひ香さんの魅力”全部盛り”の極めて贅沢な読書が楽しめる絶品!だと思いました。2022/09/17
mae.dat
259
タイトルからはさ、例えば『孤独のグルメ』の昼呑みバージョンぽいのかなぁとか思ったけど。確かにそんな描写はありますが、結構あっさり目でね。それより主題は主人公である犬森祥子さん自身の事と周りの方々の話でした。深夜に誰か若しくは動物等を見守るってお仕事で(レンタル何もしない人みたい)仕事終わりがランチ頃となるのね。晩酌代わりにランチ酒は分かるけど、家に帰りたくないのを紛らわす為に呑むのは健全じゃ無くておじさん心配だよ。半端な終わり方だったので、続きがありそうと思いました。調べたら、読み順間違えないよう要注意。2023/01/31
射手座の天使あきちゃん
253
『見守り屋』という不寝番のお仕事の疲れや憂さも、やるせない人生のしがらみも、ひと時忘れて美味い飯と旨い酒に舌鼓。 これを人生至福のときと呼ばずして何と言う…的なお話を綴った短編集です(笑) それにしてもビールに焼酎、地酒にワイン、ハイボールに老酒とよく飲みますねぇ♪ 「おんな酒場放浪記」の倉本康子さんも完敗(乾杯?)ですね❕ (^_^)v2021/09/26
rico
190
わ、これ、お昼前に読むんじゃなかった。午後のお仕事忘れて、ランチの席で「ビール!」って叫んでしまいたくなる。出てくるお店、実在するの?どれもこれも行きたくなるんすけど。・・・って、本題はそこじゃなくて(汗)・・・生きていれば色々ある。主人公の祥子はアラサー・バツイチ。職業は「見守り屋」。自身のこと、依頼主の事情。様々な屈託が滓のように積み重なっていく。それでも、美味しいごはんと美味しいお酒を味わう至福のひとときは、固く縮こまった心をゆるやかにほどいていく。さて、とりあえず動いてみよう。ごちそうさまでした!2021/11/25
ALATA
164
思い出酒、やけ酒、迎え酒、いろんな酒がある。はて?‘ランチ酒‘聴いたことがない。バツイチ、子供と会えない思いを抱え深夜の仕事に没頭する祥子の姿が少し寂しい。仕事明けのランチと酒がひとときの幸福感を与えてくれる様が美味しそうに書かれていてホッとする。なるほど、食べて、飲んで、生きていくことで何かが変わる。生きる喜びを感じさせてくれるいいお話でした★4※「あー、いいね。初夏のビールは人生一の楽しみだねえ」これ、すごくわかります(^^♪2022/09/22