内容説明
聖テレサ医大病院の老人病棟に入院している認知症の老婆が突如、行方不明になった。近所で倒れているところを病院アルバイトの学生・平野美穂が発見するが、直後に老婆は死亡。やがて同じ病棟の老人が次々に不可解な事故に巻き込まれていく。不審に思い、調べ始めた美穂は「死者から電話がかってくる」という奇妙な証言を老人たちから得るが…。驚愕の医療ミステリー。
著者等紹介
山田正紀[ヤマダマサキ]
1950年、愛知県生まれ。74年、『神狩り』でデビュー、同作で第六回星雲賞日本短編部門を受賞する。82年、『最後の敵』で第三回日本SF大賞を、2002年、『ミステリ・オペラ』で第二回本格ミステリ大賞と第五五回日本推理作家協会賞をダブル受賞。SF、ミステリー、冒険小説、時代小説など幅広い分野で活躍を続けている(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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モルク
103
心理学を専攻する大学生美穂は週三回認知症の進んだ患者のいる大学病院の老人病棟でアルバイトをしている。彼女が担当している患者が次々と事故等で亡くなる。死者とおもちゃの電話で話すという共通項があり、何かがおきている…。婦長、教授、研修医、患者やその家族と不穏な空気が漂い、誰を信用すればいいのか。30年ほど前の作品なので携帯のない生活。今なら…と、思えることも多い。でも介護事情には殆ど変化なし。保険負担やサービスを受けられる条件など寧ろ悪化している。認知症、介護問題は永遠のテーマなのだ。2021/09/16
ちょこまーぶる
59
ページを捲るスピードが速かった一冊でした。老人病等に入院している認知症の患者さんの死亡が続き、それを不審に思って調べ始めた病院アルバイトの学生さんの奮闘を描いています。その学生さんの行動力には驚いてしまったり、もう少し自分のことを守ってもよいのではないかと思ったり、結構忙しい思いをしながらの読書でした。そして、違法な人体実験をしていたなんて、昔の精神科医療の一端を想起させる内容で医療のためという大義名分な矛盾に怖さも感じてしまいました。でも、次々と起こる事件の解明過程が楽しかったです。2024/09/21
読書亀
14
初読み作家さん。老人病棟でアルバイトをしている美穂。美穂のアイデアのおもちゃの電話を置く事で、痴呆症の老人が生き生きしてきた。 でも、彼ら達は次々と亡くなる。店に伝言を頼む?とか、昔の事件なんてネットで調べればすぐわかるのにーって思ったが、この作品、平成4年のものでした。にしては、古さがなく読めた。最後の真相解説シーンは2時間ドラマぽい。痴呆症を少しでもよくしたいと言う気持ちはわかるが・・。 2022/08/29
よぶ
12
1992年に刊行された認知症を題材にした本である。その時代から何十年も経っているのに介護の実態は変わっていない!!昔は『認知症』のことを『痴呆』と言っていた。時代が変わっても認知症は永遠のテーマのような気がします!!2020/09/26
Alice
11
途中から予想していたラスト…見事に外れたんだけど、私としては美穂も実は痴呆老人だった…というラストを期待してました。全てが幻想、空想。なので意外と普通のオチで期待外れでした。2021/08/29




