内容説明
東京大空襲の焼け跡も生々しい昭和二十年四月。十四歳の稲村美代子は上京し、新宿の看護婦養成所に入学した。お国のためにと勉学に励む美代子だったが、日々激化する空襲に、現場はたちまち野戦病院と化す。同じ頃、二十三歳の通信兵盛田隆作は、大陸を転戦していた。が、壮絶な行軍の末、体調に異変を来してしまう…。数奇な運命に導かれた少女と青年の鮮やかな恋と一生。
著者等紹介
盛田隆二[モリタリュウジ]
1954年、東京生まれ。90年『ストリート・チルドレン』で野間文芸新人賞候補、92年『サウダージ』で三島由紀夫賞候補。『ぴあ』の編集者を経て、96年より作家専業(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ひろりん
15
両親の青春時代って、意外と知らないのかもしれません。71歳の母を亡くした作者は、両親の出会いや若いころのことを全く知らないことに愕然とします。この本を書くことは、亡くなった両親と自分を改めて結びつける作業だったのかも知れません。戦中戦後に青春時代を過ごした人たちの、等身大の姿が感じられました。2021/03/04
スナフキン
9
ずっと読みたいと思っていた本。文庫化されたので、即購入した。 著者自ら書いておきたかった本というだけあって、大変読み応えのある力作だった。 最初と最後だけ視点が現代で、後は著者の両親の戦争体験と恋愛を生々しく、そして、時に爽やかに描いている。 最近戦争を美化する風潮も一部にあるが、そして、私もそういう風潮に影響されていたが、本書を読んで、戦争の悲惨さ、酷たらしさを改めて思い知らされた。 本書の読後感は漫画『はだしのゲン』や映画『火垂るの墓』に初めて接した時に近い。 それ程強烈なインパクトある作品だった。2020/07/22
りょう
8
ご両親がなくなったのをきっかけに、お二人の人生を知ろうと、その出会いの頃を書いた小説。ちょうど、あたしの両親の世代で、私自身もよく知らないまま見送ってしまったので、興味深く読みました。2020/08/28
たなかはん
4
作者の盛田隆二氏が母親が亡くなった後に、両親の昔の話を親類から聞き集めて、一小説をしたためたのがこの作品。 自分の両親を男と女として描くのは、気恥ずかしいところがあっただろうと思う。切ない読後感が残る良作。 2021/06/13
rachel
2
実際に読んだのは同じ表紙の単行本。新聞の文化面で著書の寄稿を読んで。2021/02/09
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