内容説明
次席家老の子息の剣術指南に抜擢され、岩倉道場を継ぐ決心を固めた幸司。ところが父源太夫は中老に「御前さまに任された道場は世襲ではない」と釘を刺される。幸司の兄龍彦は遊学中で将来を嘱望される身、これで岩倉家は安泰よと、藩内から羨む声も聞こえ…(『笹濁り』)。軍鶏侍を父に持つゆえの重圧に堪え、前髪立ちの少年が剣友とともに、剣の道を駆け上がる。
著者等紹介
野口卓[ノグチタク]
1944年、徳島市生まれ。さまざまな職業を経験し、ラジオ・ドラマ脚本・戯曲を執筆。1993年、一人芝居「風の民」で第三回菊池寛ドラマ賞を受賞。日本脚本家連盟会員、日本放送作家協会員(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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やま
104
軍鶏侍10作目「新・軍鶏侍」(第二期)4作目 2020.03発行。字の大きさは…小。笹濁り、孟宗の雨、木鶏、若軍鶏、お礼肥の5話。園瀬藩九頭目家の藩道場主・岩倉源太夫の軍鶏と家族の物語です。源太夫が、上意討ちで倒した者の息子を養子とした龍彦は、藩費で長崎へ遊学中であり。後妻・みつの実子・幸司は、道場で実力をつけ、次席家老・九頭目一亀の継嗣・鶴松の剣術指南役に抜擢される。幸司を見ていると、その成長の早さと、将来の道場主としての覚悟と、剣技を備え、物おじせず大人としての判断をしているのには、素晴らしいです。→2020/07/04
ベルるるる
27
短編5話。どの話も心に沁みた。亡くなってしまったけれど権助の言葉は源太夫にとって今も道しるべであるし、亀吉にとってもその教えは今とこれからを支える糧でもある。幸司の成長も著しい。人は妬むけれど、妬まれる立場の幸司はたゆまぬ努力をしている。木鶏足りえずではなく木鶏たらんと生きようとしているけれど、容易ではない。2020/07/28
タツ フカガワ
14
14歳にして岩倉道場を継ごうと決意した幸司の日々を追った“新”シリーズ4作目。幸司に迷いがないというか、悩みがないというか順風満帆。それだけに盛り上がりに欠ける一作でした。2020/10/14
Mc6ρ助
11
いまでも安心して読める、数少ない文庫書き下ろし時代小説のシリーズ。とはいえ、主人公の息子が若くして木鶏を意識するのは、還暦すぎの爺様の視点では、何かしら面映ゆい。二人の優秀な息子達を妬まれたりして、ふりわまされかける主人公にこそ、「われ未だ木鶏足りえず」と言ってほしいと思うのは、それはそれで著者の思うがままに操られているような気がする。それはとにかくとして酢橘と園瀬弁(?)が懐かしい読書子なのでした。2020/04/30
qoop
11
静謐な寂しさ漂う権助の最後を書いた前巻を受けながら、幸司ら次世代の台頭を読ませてくれるシリーズ四冊目。世代ごとに生き生きとそれぞれの成長を書く本作だが、ここへ来て次世代の比重がググッと大きくなった気がする。いや、もちろん新シリーズそのものがそうした骨子なのだろう。僕が老境に差し掛かった主人公の姿を認めたくなかっただけで。人生の終焉(権助)と世間への船出準備(幸司ら)に挟まれる形で、来し方行く末に想いを馳せる姿はとりわけ老いと残りの時間の短さを感じさせる。2020/04/29




