内容説明
伽羅に似た香りの鬢付け油が大人気の『錦屋』。その主・卯三郎は、何でも金の力で他人のものを奪い取ると評判だ。ある日、腹を真一文字に斬られた男の死体が見つかった。青柳剣一郎は、男が錦屋を探っていたと知り、卯三郎が本物の伽羅をつかっているのではと疑う。さらに、錦屋の用心棒が相次いで襲われ、大盗賊が伽羅を狙っていた話を耳にする。欲望渦巻く争いの行方は!?
著者等紹介
小杉健治[コスギケンジ]
1947年、東京生まれ。83年「原島弁護士の処置」で、オール讀物推理小説新人賞を受賞しデビュー。87年『絆』で日本推理作家協会賞を、90年『土俵を走る殺意』で吉川英治文学新人賞を受賞する。以降、社会派推理、時代小説の旗手として活躍(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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とし
112
風烈廻り与力・青柳剣一郎「伽羅の残香」39巻。文七、大助はいい方向へ、一方重い病の高四郎さん、お家騒動の犠牲になった吉富紋之助と草間大三郎哀しい結末でしたね、伽羅の残香読み応えありました。2018/01/08
いつでも母さん
91
青痣与力、今回はいつも以上に読み応えがありました。騒動そのものが剣一郎をひきよせていると、本人が思うように、巧く凝ってました。人は一見非情なように見えることが、実は理にかなっていたり、人の為だったりするのが巧い。『香木』を巡ってお家同士のいざこざがたどり着く時・・一件落着なのだが、この騒動と並行して義弟の病が重いのも時系列的にそわそわさせられる。そちらはおそらく次巻あたりで想像出来るのだが、皆が悲しみにくれるのは想像に易く、文七の行く末も落ち着くところへ落ち着くのだろう。あゝ、待ち遠しい。2017/09/26
ベルるるる
21
今作では沢山の伏線があり、それが思いがけない形で結ばれていく。伽羅という香木の行方を追う大名家。余命いくばくもない盗賊。鬢付け油を売る商人。事件は解決しても、家の為に死んでいく哀れな家来達の運命に涙。そして多恵の弟の運命にも涙。文七にも新しい道。でも、これもきっと困難な道だと思う。そして猫の太助。太助の前にも文七の代わりに働く新しい道。これは子供の時からの願いであり、太助には幸せな道だね。最初から最後まで無駄のない語りで、本当に面白かった!2017/10/27
夢子
18
強欲な人だと思っていたら人助けのためにわざと強欲のふりをして施されたことがわからないように人助けをしていた、そんな人いるのかな?今回はそんな話でした。2024/12/30
真理そら
6
文七の身の上に大きな変化が起きてしまったけれど、違う立場で参加するようになるのだろうか。太助がこれまでの文七と似た役回りになるがタイプが違うので新鮮だ。変形鼠小僧的な内容だったが、『火盗殺し』と同じように多恵さんの香道が少し役に立ったかも。シリーズ初期の巻を思い出すような物語で個人的には満足だった。2017/09/15
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- 和書
- 無垢の時代 岩波文庫