内容説明
死体の足元に落ちた「黒い天使」のトランプ―。カジノで借金漬けだった老人の死亡事故を探っていた刑事・諏訪光介は、その日本初のカジノを管轄下に置く聖洲署に異動になる。煌びやかな街の中を謎の自警団が跋扈し、警官は汚賄塗れ。だが、諏訪がその闇に踏み込んだ時、潜んでいた巨大な敵が牙を剥いた!未来を予測する、新警察ミステリー。
著者等紹介
河合莞爾[カワイカンジ]
熊本県生まれ。早稲田大学法学部卒。出版社勤務。2012年に第三十二回横溝正史ミステリ大賞を『デッドマン』で受賞しデビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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nobby
123
もう満腹通り越して膨満感いっぱいなのは盛り込み過ぎなんだろうなぁ…時系列ズラしたり人物視点変えて何となく繋がっていく構成は大好物。ただ、いかんせん主題となるカジノに全く興味示せないのが痛すぎる…近未来SFや聖書に高齢者問題まで広げるのには感服するが、その割に唐突に真相明かされるのが残念。五つの巨大媒体組んでの悪巧みは結局置いてきぼりだし…それでも分かりやすい黒幕とか、作者の思うままに騙されたりとしっかり楽しめるのはサスガ♪プロローグとエピローグ振り返り、物語が彼のサーガであることを確認すると寂しくもある。2019/07/02
papako
71
気になってた河合作品。最近新しいの書かれてないのかしら。カジノが出来た近未来の日本、次々と老人が死んでいる。その裏には国家ぐるみの犯罪が。そして謎の『天使』とは?なかなか壮大な事件、次々殺される登場人物たち。しかし割とあっさりと犯人にたどり着いた印象。盛りだくさんな内容の割に読みやすくてわかりやすい。マシューが博打に強かったのは、『口髭の男』のおかげ?その正体って?自分やダンナにギャンブルの趣味がなくて良かった!確か前日譚か何かあった?探そ。2018/12/08
ナミのママ
58
『デッドマン』の独特な世界観が面白かったのでこちらも読んでみました。現代社会の延長にある近未来を題材に、かなりヘヴィなストーリーです。が割とあっさりと読めてしまうのは、人物をさらーっと書いているからかな?と思います。老人をターゲットにした構想は面白く、もう少し、この作家さんを続けて読んでみたいです。2017/07/15
kei@名古屋
37
天使、聖書、カジノ、ギャンブル依存、特区、生体認証。やりたいことが多すぎている感じがしますが、設定が中二病だろうがなんだろうが、河合さんの作品でございます。近未来に関わらず、すでにパチンコを中心に今もこういう世の中になってる気がするのですよね。パチンコ屋さんの近くに繁華街があって消費者金融があって、近未来でなく今の日本の姿という事に気がつくと非常に怖い一冊です。それよりもこの作品に続編が出ていることが非常に驚き。この後に何が起きるのでしょうか?2017/06/26
left7
36
河合さんの作品は久しぶりに読みましたが、今まで読んできた作品ほどのめり込めませんでした。展開が読めてしまう部分が多かったことや作品の造りが今までよりも大雑把に感じてしまったことが要因ではないかと思います。文庫の帯の「警察ノワールの金字塔」はどう考えても言い過ぎではないかと思いますし、デビュー作から徐々に面白さを感じられなくなっているのも気がかりですが、河合さんの作品は好きなものが多いので今後も読もうとは思っています。2018/12/26