内容説明
GHQ占領下の昭和二四年、後に“昭和史最大の謎”といわれる事件が起きた。七月五日早朝、下山定則初代国鉄総裁が失踪。翌日未明、線路上で礫死体が発見された「下山事件」である。あの時、何が起きたのか…。政財界の大物、日米の諜報員と特務機関員、警察と検察。当時の関係者の動きを小説という形で追跡し、ノンフィクションでは描ききれない真相に迫った衝撃作!
著者等紹介
柴田哲孝[シバタテツタカ]
1957年東京都生まれ。日本大学芸術学部中退。2006年『下山事件 最後の証言』で日本推理作家協会賞と日本冒険小説協会賞をダブル受賞。07年に『TENGU』で大藪春彦賞を受賞するなど今、最注目の作家(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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PEN-F
36
ついにあの下山事件の全貌が明らかに!...とまではいかないが、警視庁が扱う重大事件の捜査の裏には、必ず“何者か”の大きな力の気配が存在する。それ故に何がなんでも“自殺”として処理をしなければならない警視庁上層部と捜査一課。状況証拠や司法解剖の結果からは“他殺”の線は揺るがないようにも思えるが...。そして事件の真相が“何者か”の大きな力によって闇の中へと葬り去られたことは、東京地検が闇の権力に屈した事を意味する。2024/10/07
ラスカル
20
GHQ占領下で起きた下山事件。松本清張の『日本の黒い霧』が有名だが。ノンフィクションでは語れないところをフィクションという形で書き尽くしたとか。戦争帰りの男たちの殺人を何とも思わないところが怖かった。「売国奴は線路に寝かされて汽車で八つ裂きにされた」とか。それで下山総裁は列車に轢断されたのか。GHQ内部の権力闘争だけでなく、暗殺者たちの汚職もからんでいたとは。どちらにしても、敗戦後の日本の混沌とした世相がよく描かれている。2020/06/16
誰かのプリン
20
GHQ陰謀説が有望かなと今まで思っていた。しかし国鉄を巡り甘い汁を吸おうとする政治家、はたまたGHQに属する一派閥や民間企業を装う右翼たちの欲望が本事件を起こした理由だ。流石、事件を起こした孫の著者が書いているため説得力がありました。下山事件に関する次なる本を読もう。2018/01/08
Sato
9
この本は著者の代表作のノンフィクションをフィクションに落とし込んだ作品と思われる。たまたまテレビをつけたらこの事件を扱っており、それじゃぁということで手に取った。多分フィクションにするにあたり名前とかは変えられてると思うが、すじ道が立っている分リアルに感じられる部分と、結論ありきじゃない?といった感情が入り混じった。謎に包まれてるところにキャラがたち物語はぴったり当てはまってしまった。何処かでまた思い出すのかわかりませんが元になったノンフィクションを読むかも。2024/04/10
Tomomi Yazaki
8
著者の得意する、史実を織り交ぜながらの物語は淡々と進む。彼の身内も例外ではなくほぼ実名で登場する。そして闇のフィクサー・矢板玄も・・・。この下山総裁殺害計画の詳細な記述は、本当に著者の想像なのか。身内が犯罪に手を染めた事実を包み隠さず公表したルポ・下山事件最後の証言と合わせると、闇の歴史のジグソーパズルが完成する。600ページにも及ぶ長編だが、久しぶりに読書に没頭し、堪能できた。これは、柴田哲孝の執筆に対する揺らぎの無い覚悟を推し量ることのできる一冊である。2018/06/21
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