出版社内容情報
原 宏一[ハラコウイチ]
内容説明
失踪した両親を捜すため、移動調理屋を始めた佳代。再会は叶わなかったが、旅先で縁を得た“松江のばあちゃん”から全国各地の港町に調理屋の支店を開いてと頼まれ、再びキッチンワゴンを走らせる。食文化の違いに悩む船橋のミャンマー人女性、尾道ではリストラされた父を心配する娘―奮闘する人々が持ち込む食材で、佳代は彼らの心をほぐす最高の一皿を作れるか?
著者等紹介
原宏一[ハラコウイチ]
1954年生まれ。コピーライターを経て『かつどん協議会』で作家に。『床下仙人』(祥伝社文庫)が2007年啓文堂書店おすすめ文庫大賞に選ばれブレイク(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
相田うえお
144
★★★★☆18002 軽の1BOXカーを改造した厨房車にガスコンロ,流し台,冷蔵庫,ミニオーブン等を装備し、各地を移動しながら『食材さえ持参すれば、いかようにも料理します』と料理を作って提供し、「美味しい」のひと言を聞ければ採算ギリギリでも構わない。仕事が終わると近くの日帰り温泉や銭湯で汗を流して晩酌〜!うん!いいねこれ!とにかく食欲が出る作品です。特に美味しいものに興味がある方とか料理好きな方なら、さらに楽しめると思います。これは第2作目なんですけどエンディングにガーンときたので次作発売期待!2018/01/04
ゴンゾウ@新潮部
105
前作は両親の失踪の原因が不快だったので 今作の方が純粋に料理に向き合っていたので よかったと思う。佳代さんの恋ばなは中途半端でした。この結末は続編があると言うことでしょうか。2019/01/17
ふじさん
95
シリーズ2作目。キッチンワゴンで地元の人々が持ち込む食材で、人々の心をほぐす最高の料理を提供する佳代の奮闘記。松江のおばちゃんから各地に調理屋の支店を開いてほしい頼まれ、再びキッチンワゴンでの旅を続けることになった佳代。今回も、食文化の違いに悩むミャンマー人女性との出会い、ヒッチハイクで知り合ったフランス青年とのほのかな恋、リストラされた父親を心配する娘等、様々な心温まる出会いが語られる。小さな困りごとは起こるが、彼女の人柄か、関わった人々に恵まれ幸せな方向へと事が進む。何か読んだ後に心癒される。 2022/07/26
はつばあば
72
読了後先ず一番に思ったのは・・この続きはもう無い方がいいかなぁって。佳代さんの花嫁姿も見たいし、国際色豊かな登場人物にホイホイとノレそうなのだが、寂れた漁港にばあちゃんの・・。心にしみる一皿が涙でしょっぱくなる。それでもやはり佳代ちゃんの料理食べたいし、先々のおばちゃんタチの話も聞いてみたい。実際そういう移動調理屋さん廻って来てくれないかしらねぇ。爺様に3度3度作ってもう?年。出前もお取り寄せも飽きてしまったし。出前もスタバも無い爺様の田舎に比べりゃここは天国だ(^^;。佳代ちゃん山の中へ行ってくれない?2017/05/29
dr2006
56
ワゴンに「いかようにも調理いたします」と看板を掲げ、客が持ち込む食材を調理するという商売、佳代のキッチンの第二弾。本作では日本全国の港町を廻りながら、キッチンを営業し、そこで知り合った人々との人情あふれる交流を描く。他人が食べる料理を理解することは、その人の理解を深める大切な道筋となる。言い換えれば、食が合わない人とは深層の域で違和感が生まれ、長く生活を共にすることが出来ないだろう。悪人が登場せずほのぼの、多少都合良く行き過ぎる感はあるが、この作品には酒に合う旨い料理に出会った時の幸福感がある。2020/07/07