内容説明
二〇一一年三月一一日、東日本大震災が発生。巨大津波の混乱の中、福島県いわき市でも無数の車が流された。その中に東京で同僚の議員秘書を殺害し、大金を奪い逃亡した男の車もあった。男の捜索を依頼された探偵神山健介は、足取りを追い被災地を北上する。過酷な状況下で、やがて炙り出される権力の影。男は何を目指して漂流するのか。辿り着いた地で知る、衝撃の真実。
著者等紹介
柴田哲孝[シバタテツタカ]
1957年東京都生まれ。日本大学芸術学部中退。2006年『下山事件 最後の証言』で日本推理作家協会賞と日本冒険小説協会大賞をダブル受賞。07年に『TENGU』で大藪春彦賞を受賞するなど、今、最注目の作家(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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- 評価
京都と医療と人権の本棚
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Aiichiro Nakajima
24
ドキュメント要素が強く、考えさせられたし5年前の東北地方太平洋沖地震を鮮明に思い出した。セシウムが広島型原爆の168発分が、福島第一原発から??報道されていない被爆や見えない脅威。本当に考えさせられる一冊でした2016/11/23
ココロココ
15
3.11後の東北の地での物語。 追う男、追われる男。 ちょっとしたハードボイルドなのだが、その中にも日本が抱える原発問題が盛り込まれている。フィクションといえども、実際の出来事も織り交ぜられている。津波が去った後の瓦礫の山。避難所での様子が手に取るように分かる。私立探偵神山健介が出てくるが、いきなりこれを読んだので、前作も読んだ方が良さそうだ。2016/02/14
yamakujira
4
議員秘書の坂井が同僚を殺して大金を持ち逃げした。津波に遭遇して生きのびた坂井は、東北沿岸を北上しながら逃げていく。坂井の動機は、彼はどこに向かうのか、神山は坂井を捕捉できるのか。犯行の背景はほぼ予想通りで、ミステリとしては物足りない。でも、作者は震災を、とくに原発問題を問いたかったのだろうし、坂井や神山を借りた憤怒や諦念には共感できる。ただ、シリーズ初読だから神山のキャラがつかめないけれど、被災地を目にして動揺しすぎだと感じた。ラストの始末がきれいすぎる裏金は6001万円あったのかな。 (★★★☆☆)2018/01/25
あいちょ。
2
神山健介シリーズ5作目。2016/05/14
ぱーぷる・ばんぶー
1
私立探偵・神山健介シリーズ第5弾。福島県白河の自宅で東日本大震災を経験した神山に政治家の事務所で同僚を殺害し、金を横領し逃亡した秘書を探してほしいとの依頼が入った。逃亡先は震災直後の福島県。神山は自動車で福島県から東北を北上するが・・・。事件の背景に原発問題が絡み、震災直後の被災地がドキュメント的に描写されるなど、シリーズの番外編的な作品になってる。2016/01/30