内容説明
陸軍中将の父を持ち、自らも陸軍大臣として辣腕をふるった東条英機。苦学の末、海軍兵学校に入り、鈍重と評されながら連合艦隊司令長官、そして海軍大臣に上り詰めた米内光政。一方はA級戦犯として刑に処され、他方は終戦に尽力。東北という同じルーツを持ち、共に国家神道を信じた二人の軍人。彼らはなぜ戦い、その命運はどこで分かれたのか。圧巻の戦記文学登場!
著者等紹介
阿部牧郎[アベマキオ]
1933年、京都生まれ。京大仏文科卒業後、会社員生活を経て文筆活動に入る。88年、『それぞれの終楽章』で第九十八回直木賞を受賞。以後、恋愛、サスペンス、歴史小説等幅広い分野で創作を続け、エンターテインメント界指折りの人気と実力を誇る(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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キューポップ
43
パラ読みになってしまった。上下巻入手後、中巻が存在する事判明。もう読んでしまおうと。盧溝橋、日露戦争、軍人側からの作戦に興味有る人には興味深いかもしれない。戦争小説では民間人側からの話を読みたいと思う私にはそうでもなかった本。しかし中巻からは更に大東亜戦に向かってゆくだろうから今後気にはなる。神道、天皇への忠誠の徹底。戦勝で提灯行列し喜び更に勇む日本人の傾倒には怖さを感じる。ネット情報溢れる今だって、情に訴えるメディア情報をそのまま鵜呑みにする多くの日本人が私に取っては怖い。2019/10/17
James Hayashi
17
世界大戦をリードした二人の軍人を対比して描いた戦記モノ。上巻は二人の若き頃から日露戦争、大正末期まで。米内は日露戦争では連合艦隊の電(イナズマ)に乗り魚雷手、東条はまだ学生。少ない記述であったが、日露の勇ましい戦いに鼓舞された。この当時、盛岡から優秀な人材が数多く輩出。板垣征四郎陸軍大臣、米内光政海軍大臣。金田一京助などクラスは違えど盛岡中学。優れた教師でも居られたか?次巻へ。2015/12/17
ZEPPELIN
4
太平洋戦争を考えるためには、幕末から流れを追う必要があるというのがよく分かる。海軍と陸軍の考えの違い、煽る新聞に煽られる国民と、その当時の日本に存在したであろう止められない流れも見えてくる。逆に、満州にしろ中国にしろ朝鮮にしろ、政府や軍の内部で意見が違いすぎて、結局何がしたかったのかが分からない。こんなにも仲違いしていた人たちが「共同謀議」ということにされたのかも分からない。結局、分からないことだらけの戦争であったということがよく分かる上巻2014/09/18
シロー
2
現代の我々日本人にはイスラム教徒の聖戦思想が全く理解出来ないが、七十年程遡れば天皇を現人神とする国家神道の元もっと狂信的な状態だったことが窺われる。新聞が世論を煽り、正に国民一丸で戦争へ突入していく様は常軌を逸している。物語の盛り上がりを考慮して盧溝橋事件を描いてから過去の事例を描いているが、登場人物数が膨大なので判りやすさを優先して時系列に沿って欲しかった。謎の平仮名多用には意味があるのか? 小学校の歴史の教科書で個人的にハイライトだったバルチック艦隊撃破の詳細な記述にはやはり興奮を覚えてしまいました。2016/02/01
ちゅんぴん
1
海軍と陸軍と思考の違いがよく理解できる。軍人は政治に関与すべきではない、これがポイントですね。2015/01/16