内容説明
牧原藤子がようやく手に入れた一戸建てのわが家。だが、思わぬ不幸が近所に潜んでいた。親切なお向かいの夫人は実はゴミ袋を覗くほどの詮索好き、両隣からは大音量のプロレス中継に猫よけの異臭…。終の栖となるはずだったのに、ひと癖もふた癖もある人たちに取り囲まれていたのだ。やがて藤子を悲劇が襲う!さまざまな日常のストレスが生む恐怖とは?―。
著者等紹介
森村誠一[モリムラセイイチ]
1933年、埼玉県熊谷市生まれ。青山学院大学卒。69年『高層の死角』で江戸川乱歩賞、73年『腐蝕の構造』で日本推理作家協会賞を受賞。その後次々と話題作を発表、確固たる地位を築く。推理小説のみならず、時代小説、ドキュメントと幅広く活躍(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
yomineko@ヴィタリにゃん
59
やっとの思いで手に入れた一戸建て!なのに周りは「魔」だらけ。他にも電話魔、社魔(現代の社畜?)などなどの短編集です。短編なので簡単に事件が解決してしまうのが残念ですが、中々面白かったです🎵2022/07/09
ひろし
3
隣魔、音魔、車魔、猫魔、煙魔などなど…何かに対し異常なほど執着する人たちの物語。怖いというか気持ちの悪い話ばかり。双方とも救われない話が殆ど。音魔は近所の生活音に敏感で、車魔は激しく車が嫌いで、煙魔は激しい嫌煙者。煙魔や車魔の話に著者の主張を感じるが、言っていることは正論だと思う。ここ数年の流れで煙草を吸う人の肩身が狭くなったというが、これまでは嫌煙者は愛煙家の存在により端に追いやられていたわけで、害を放つ愛煙家が端に追いやられて当然だと思う。中々ブラックな結末を向かえたりするので面白い作品集だと感じた。2013/03/18
こういち
2
全編を通して、現代の生活の中で起こり得る事象を著者独特の視点で描く。 家族、地域、会社の中で、人と人との繋がりが歪み、悲劇を誘発する。人類が繁栄することで失ったもの、相手を思いやるという気持ちの大切さについて警鐘を鳴らす。 特に、「車魔」と「音魔」の章は、現代に蔓延る利便性、快適性の是非を考えさせてくれる。さり気に、牛尾刑事と棟居刑事もスポットで登場し、心憎い演出も余念ない。2013/03/20
ツキコヨウ
1
短編集。世の中「魔」だらけすね。すよ。でしょ。2014/07/03