内容説明
「血は繋がっていなくても、この家で女三人で暮らしていこう」板前だった父はよその女性と海外へ出奔、残された母と私に、祖母はそう提案した。それから七年、趣味に忙しい祖母、やり手経営者の母、結婚を控えた私―「おいしいものは、誰かと分かちあえば、二倍おいしくなる」東京の下町を舞台に、女三人の日常に巻き起こるささやかな事件。新しい家族のかたちを描いた物語。
著者等紹介
安達千夏[アダチチカ]
山形県生まれ。1998年、男女間の新たな絆を性愛とともに描いた「あなたがほしい」ですばる文学賞を受賞しデビュー。また鋭利な筆致で愛と死を綴った『モルヒネ』(祥伝社文庫)が四〇万部を超えるベストセラーとなる。一貫して「愛」「家族」「宿命」といったテーマを追求している(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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エドワード
14
日本の国のお役人様は標準的な家庭というものを「サラリーマンと専業主婦と二人の子ども」と想定し続けているらしい。非正規職員やら片親やら、今時そんな家庭は十軒に一軒だな。清澄白河あたりの祖母、母、娘の三人所帯の日常。母に腹違いの妹がいたり、別れた父がコロンビアでスシバーを経営したり、形は少々いびつでも家族を思う気持ちは変わらない。西瓜を四角く切って出す家庭があってもいいじゃないか。ばあちゃんが男友達に送るためにメールを覚える話が艶っぽくてしぶい。私も海老サマと呼ばれたいね。題名が?でしたが読んで納得です。2015/09/30
saki
2
ブの105円棚で。「ちりかん」という言葉を初めて知りました。何かこう響きのある素敵な言葉です。3世代の女所帯っていうのにちょっと惹かれる味わいがあり、また、おいしそうな食べ物が出てくるストーリーはそれだけで読んで得した気分になります。2013/05/03
じょじょ
1
好き。主人公の境遇は少し珍しいけど 何でもない日常の話。それがさっぱりしてるけど ほのぼのしていて落ち着く。2016/10/10
砂糖
1
東京の下町に住む30代の「私」は児童館の臨時職員。フットマッサージ店を経営する母と、祖母(「私」の母と別れて再婚しコロンビアで板前をしている父の母親)との3人暮らし。女3人の静かな暮らしに訪れるささやかな事件の数々。そして、緩やかに進んでいく「私」の結婚の話。典型的な「家族」とはかけ離れている形ではあるが、「家族」としてきちんと丁寧に暮らしていることが、生きていくことの力になる、ということを感じさせてくれる。季節の風物の描写や食べ物の話も楽しい。2014/06/13
Meg
1
「凛とした」と表現するのが相応しい、一本筋の通ったしなやかな女性達。家族や大切な人と食卓を囲めることの幸せと、その大切さを感じる。「親から教わったことは、からだが憶えている」。何をもって良しとするのか…考え方や判断基準、この作品に流れる全体的な雰囲気を好ましく思った。2013/06/24
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