内容説明
うだるような残暑の中、俄に起こった大火。自分を裏切り大店へ嫁いだおちかを殺そうとして捕らわれていた峰吉は、一時的に解き放たれる。おちかへの未練に苦しみつつも、羅宇屋の老人・徳三に諭され、生きる望みを取り戻した矢先、次々と罠が…。さらに、行動を共にしていた吉松も謎の死を遂げる。弱き者を陥れる、真の悪の正体とは?青柳剣一郎、執念の探索行。
著者等紹介
小杉健治[コスギケンジ]
1947年、東京生まれ。83年「原島弁護士の処置」で、オール讀物推理小説新人賞を受賞し作家デビュー。『絆』で日本推理作家協会賞を、『土俵を走る殺意』で吉川英治文学新人賞を受賞する。以降、社会派推理、時代小説などを執筆し、幅広く活躍(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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夢子
18
若い時の罪を何年も引きづっている男、女に裏切られる周りの人たちもお金に目が眩み男を裏切る、そんな人たちを、捜査一課長ごまた、正義の刀で成敗します。いつもながら、格好良いです。2024/09/12
ベルるるる
18
羅宇屋(らうや)という煙管の管を交換する仕事をしている年寄りの男。腕の立つ、この不思議な男の過去がからまり合いながら、今、目の前で起きている事件を解決していく剣一郎。面白くて一気読みした。2016/12/18
アンベラー
6
いつの世もお金に目がくらんで「おちか」や長屋の住人のようになるのでしょう 峰吉さん徳三のような人に出逢えてやり直して幸せになって欲しいものです 2019/06/14
Western
4
罪を犯した男たちの再生のお話。相変わらず剣一郎は周りに気配りをしながら真相を探り当てていく。その手柄を自分の物とはせず、部下たちを立てるところが素晴らしい。 罪人でも30年も苦労したかと察すると許すというやさしさ。 青痣同心の面目躍如。 金で転んだおちかの気持ちもわからぬではない、舞台となっている時代はそういうものだと。 2022/05/27
だいしょう@SR推進委員会
4
青痣与力も後輩に道を譲る時期にきているのでしょうか。希望していた定廻りに移動した部下の平四郎の暴走を気遣ったり、見習いである息子の行く末を案じたりと、上司らしいです。併行して起きた事件に繋がりがあるのかと思ったのですが、違ったみたいですね。ちょっと肩すかしでした。その事件の探索で知り合った徳三がけっこう渋くてお気に入りになりそうだったのですが、う~ん、残念。今回限りみたいです。こんないぶし銀のようなキャラは、ぜひ青痣与力の片腕にしたい。2012/01/06