内容説明
若くして二児の母親になった“あかね”。子供は公園の芝生にほったらかしで、携帯に夢中だ。彼女は幼い頃、虐待を受け、ホームレスから食事の施しさえ受けていた。そんな彼女が必死に携帯に打ち込んでいた内容とは―(「魔法使い」より)。“ひょうたん公園”に集う五人のママたち。彼女らの心の奥にしまわれた過去が、日常の中でふと蘇る。爽やかな感動を呼ぶ連作小説の傑作。
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京都と医療と人権の本棚
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
おしゃべりメガネ
221
読メのレビューをみて気になり、手にとりましたが、なかなかじっくりと読ませていただきました。とある公園に集まる5人(組)のママたち親子のそれぞれの視点から描かれる短編集です。特に大きな起伏もなく、各ママさん達の淡々とした語り口調がどこかクセになる作風です。ママ友との交流やリアルな格差などが、なかなかシビアかつリアルに書かれており、子育てに関する悩みや過去の自分に対するトラウマも現実味を帯びており、こういうコミュニティもやっぱり大変なんだろうなぁと感じました。不思議な雰囲気のある作品で、読み返したくなります。2015/10/25
chiru
120
赤ちゃんや子供連れママで賑わう、微笑ましい公園の風景。でもみんな、自分だけの秘密の過去を抱えてる。連作集の中では『魔法使い』が好き✨ 施設で育ち、子供の育て方を知らずに母親になった彼女からしたら、誰もが育児に慣れた『魔法使い』のよう。後半、彼女のとった予想外の行動に、微笑みと涙が同時に浮かぶ。ひたむきで不器用な新米ママが心から愛おしくなる。何があっても大丈夫、つないだ手の温かささえ知っていれば。同じ苦労をしてきたママたちが、たくさんの笑顔で迎えてくれるから。公園にはいつも素敵な『魔法使い』がいる✨ ★42021/02/04
いこ
102
昼下がりの公園の片隅に、今日も5人のママと子供達が集まっている。地味ママ、ド派手ママ、仕切り屋ママ、無関心ママ、面倒見のいいママと全く違うタイプのママ達。各々が自分の過去を回想する形で進む連作5編。何事もないように集っているママ達だが、結構すごい過去を抱えていたりする。その最たるは、最終章を飾る「無関心ママ」で、壮絶な過去を持つ。いつも子供をほったらかして携帯メールに夢中なのだが、そのメールの驚くべき内容とは?新しく現れた「公園の魔法使い」は彼女の光になってくれそう。救いがあるラストで、読後感もよかった。2020/12/05
ゆにこ
75
公園に集まるママ、パパの連作短編集。それぞれが主役の章で語る本音に、あの場面で実はこんなことを思っていたのか❗と分かる。言わないだけで皆人生にドラマあり。2016/06/16
kei302
65
ひょうたん公園に集う幼児を連れたママたち(パパも)、視点を変えて描く連作短編。三羽省吾、やっぱり面白い。言葉のチョイスとか、人柄のあぶり出し方とかが独特。 乳幼児の描写:一歳半にして二日酔いのおっさんみたいな顔・気苦労が絶えない中間管理職のような顔。「公園・ママ」からイメージするドロドロを感じさせない、でも、爽やか一辺倒でも、人情ものでもないのに、あたたかい読後感が残る、適度な突き放し方がいい感じ。 2021/01/15
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