内容説明
二十四時間、いかなる患者も診るという医療方針を掲げる希望会総合病院に、志溢れる産科医・菊池堅一は入職した。しかし現実は甘くなかった。医師不足、過重労働、理不尽な医療訴訟。そして菊池に降りかかった事件。入院患者の分娩中に救急産婦の治療が重なり、新生児に障害を残してしまったのだ…。現役医師が医療崩壊の実態をスリリングに描くサスペンス小説。
著者等紹介
太田靖之[オオタヤスユキ]
1961年、東京生まれ。フィリピンのBicol Christian College of Medicineを卒業後、インターン研修を経て、92年フィリピン共和国医師国家試験に、94年アメリカ合衆国医師国家試験に合格。その後帰国し、名古屋徳洲会病院産婦人科医長を経て、現在はフリーの産科医として日本全国を飛び回っている(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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しいたけ
112
産科医が書いた小説は、あまりにリアルに産科の実情を描く。医師不足、病んでいく医師、事務方との軋轢、裁判、救急を断らない理想と現実。スリリングでページをめくる手が止まらない。私の娘のお産がいつ始まるかというときに読んだ。やめておくべきだった。当たり前のお産として終わる出産が、本当はどんなに危険をはらむものか、どれだけの医療側の緊張があるのか、垣間見たあとの分娩室前での怖さ。意義のある仕事だからこそ、もっとゆとりを持って働ける体制になればよいのに。2019/02/14
machi☺︎︎゛
92
現役の産科医の人が書く小説だからかすごくリアリティがあって現実の病院でも実際に起こっている問題なんだろうなと感じた。ただ病院サイドの人の目線の話がメインだから実際に帝王切開で産んだ身からしてみてもめちゃくちゃ怖い話だった。改めて無事に生まれてきてくれた子たちが当たり前じゃなく奇跡の連続だったと産科医や看護師さんに感謝した。2024/08/05
tom
42
これは多くの人に読んで欲しいな。結構キツイ描写も多いかったけど、これが現実なんだなと。私がお世話になったところも、産科の先生一人だけでした…。2018/12/11
☆(´(ェ)`)☆
21
現役産科医が描く医療サスペンス!とあるが、コレはノンフィクションなのでは?!産科医は訴訟リスクがあるとよく聞きます。私が出産した個人医院は夫婦で経営しており、産科医がご主人、小児科がその妻。3人の子供がいるけど絶対に産科、小児科医にはならないと言われ、眼科、耳鼻科医になったのよと雑談した記憶がある。医師、看護師の思いと経営陣の考え、患者からの要望、環境⋯24時間365日働いていると言っても過言ではないこの状況に目を瞑りたくなるのと同時に、ほんと感謝しかないです。医療関係の方々に改めて感謝です!2024/01/23
のあ
19
これはノンフィクションの産婦人科の現実。私が出産した病院も高齢の産婦人科医1人で午前中の診察、出産、手術、夜間の救急…全てを受け持ってた。私は切迫早産で何度も夜間に入院、嫌な顔1つせず駆けつけてくれた先生の顔も名前も今でも覚えてる。その先生のことを何度も何度も思い出しながら涙を何度も堪えながら読んだ。医療と向き合うために日本の医療現場を崩壊させないために是非読んでほしい。気づいて欲しい、医療現場を崩壊させてるのは自分かもしれないということを。2018/10/31