内容説明
その死体を見た途端、葛篭桃之進は「ほう」と嘆声した。左脛がスッパリと斬られていたのだ。無気力な無能者、つまり「のうらく者」と烙印を押され、勘定方から町奉行所へ左遷された桃之進だが、かつては御前試合で優勝したほどの辣腕。そんな桃之進と辻斬り事件をつなぐ奇妙な因縁とは?奉行所の腐敗を目の当たりにした桃之進が、剣客として再び目覚める傑作時代小説。
著者等紹介
坂岡真[サカオカシン]
1961年、新潟県生まれ。早稲田大学卒業。大手企業勤務を経て執筆活動に入る。人情ものから江戸ノワール、伝奇物など作風は幅広く、時代小説家として今最も期待される気鋭の一人である(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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KAZOO
96
坂岡真さんの作品は勧善懲悪ものが殆どでニュースでストレスがたまる事件などを聴いていても読むとそれが解消される気がします。帳尻屋、はぐれ又兵衛、うぽっぽ同心、鬼役などのシリーズを読んできましたがこのシリーズは未読で5冊ほどあるようです。やる気のない同心が主人公で、勘定方から町奉行所へ減俸され左遷されたものの、自分の所属する組織の悪を同じような状況にある二人の部下と一緒に退治していきます。いつもながら3つの話があります。2025/06/12
BlueBerry
33
思っていたよりは、かなり面白かったです。とは言っても意外性とかはそれ程無いんですけどね。読み易いし分かり易いので娯楽作品としては優れているとおもいます。2013/09/13
ベルるるる
25
左遷侍の桃之進。無能と馬鹿にされても気にせず、波風を立てないように生きてきたはずなのに。暗い土の中から出てきて、孵化した蝉のように羽ばたき始めた桃之進。体を鍛え直そうと努力を始める。1町走れば息が上がっていたが、いつしか闇の中を疾走できるようになる。・・・・面白かった!!2017/07/25
ゴルフ72
16
葛籠桃之進は決して「のうらく」ではない。でもそこが面白い。芥留と称される金公事でやる気のない安島と馬淵を上手く丸め込みながら使い、正義の味方の一刀を振るう。このシリーズをゆっくり読んでいきたい。2023/07/29
ひかつば@呑ん読会堪能中
11
これ、面白いねぇ。野心も欲もなく「のうらく者」と蔑まれている葛籠桃之進が勘定方から北町与力に左遷され やがて正義に目覚め...という話なんだけど、のほほんと過ごしていた桃之進が過去の因縁から悪を退治するはめになる1話目。残りの2話もいつの間にやら巻き込まれて不正を許せないという気持ちになってしまう桃之進とへんてこりんな弟を含めた奇妙な脇役達。いやぁ目が離せませんな。2013/08/25




