内容説明
敗戦後、意気消沈する日本人に勇気と自信を取り戻させた男、力道山。大相撲からプロレス転向に至る人知れぬ苦悩。隠された出生の真相。秘技・空手チョップ誕生と大山倍達の関係。愛弟子馬場・猪木に対するねじれた愛情。そして、刺殺実行犯が証言する「力道山最期の瞬間」とは…。栄光の道のりの陰で絶えず崖っぷちを意識していた男の苦闘を活写する。
目次
第1章 張り手の関脇(空手チョップはこうして編み出された!;若ノ花らとの猛稽古;東富士の顔面に張り手乱れ打ち ほか)
第2章 空手チョップに黒タイツ(ハワイでの力道山人気沸騰;リッキー、カラテチョップ!黒タイツの東洋人にアメリカ人熱狂;燃える力道山の出鼻をくじいた、冷ややかな反応 ほか)
第3章 栄光と翳(てめえばかりいい格好しやがって!豊登激怒;世紀の大誤報、力道山世界チャンピオン獲得!;大博打!プロレス・ワールド・大リーグ ほか)
著者等紹介
大下英治[オオシタエイジ]
1944年、広島県生まれ。広島大学卒業後、大宅マスコミ塾に学ぶ。69年より「週刊文春」記者として三越事件など数々のスクープをものにする。81年『小説電通』で作家デビュー、以後緻密・入念な取材に基づいた作品は政界内幕ものから実録小説までと幅広い
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感想・レビュー
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しんたろう
15
昭和の巌流島と言われた 力道山vs木村政彦戦には多くの謎が残る。「木村政彦はなぜ力道山を殺さなかったのか」が柔道側視点から書かれた本なので、プロレス側視点から書かれたと思われる本書を読んだ。木村のセコンドに付いた大山倍達と言う人物については両書共、漢気が有り武道家としての信念に微塵の曇り無い人物として書かれている。☆「私には金が無いが、この先貴方に金を借りに行く事は無いので安心して下さい」 (金に汚い力道山に対し、大山が窘めた言葉) 2016.8.9 記2016/08/09
小まる
8
再読らしいが前回いつ読んだか全く覚えてません。かつてジャイアント馬場を追いかけて、試合場に足繁く通った自分には興味深く読めました。人間、力道山って言うんですか、裏の顔というか、彼の本質の部分が細かに描かれている。今で言う裏社会と政界、経済界がズブズブの時代のことがここまであからさまに書かれていると、よくもまあ今の時代、反社会的勢力とか言って排斥できたもんだなぁって関心してしまう。2019/05/11
おおとろ|内省的ストーリーテラー
5
☆☆☆ 昭和のヒーロー像しか知らない人なら、読まない方がいいと思います。ヒーローとはほど遠い・・・裏の顔がこと細かに書かれています。2018/09/23
Terry Knoll
5
関取からプロレスラーになった力道山の評伝。 ハロルド坂田(007ゴールドフィンガー)との出会いでプロレスを知り、大山倍達から空手チョップを教えてもらう。 二人でいるときは細かい気遣いができるが、他に誰かいると傲慢な態度を取る。 弟子であるジャイアント馬場の活躍に、嫉妬を覚える。本当は気が小さな人で虚栄をはっていたのでしょうか? 日本選手権(昭和の巌流島)を戦った木村を描いた「木村政彦はなぜ力道山を殺さなかったのか」も読みたいです。 2015/02/24
Gen Kato
4
力道山という一時代のヒーローの栄光と蔭。まるで極上のエンターテインメント小説のような躍動感と迫力で、ぐいぐい読まされる。力道山自身はかなり屈折した人物だけど、彼を取り巻く男たちはかなり魅力的。ことに大山倍達の男ぶりにはしびれます。2013/08/26