出版社内容情報
「仕事は半人前のくせに、口ばっかり達者になって」ベテランOLの多恵子(たえこ)は鬱々(うつうつ)としていた。OA化に伴(ともな)い仕事が減少、若いOLたちに疎(うと)んじられる日々である。が、そんな彼女を部長の一言が変えた。「彼女らを指導してやってくれ」俄然、発奮(はっぷん)した彼女は活気を取り戻すが……(「春愁」より)。OL、保母、美容師─働く女たちの哀歓を描く傑作サイコ・サスペンス!
内容説明
「仕事は半人前のくせに、口ばっかり達者になって」ベテランOLの多恵子は鬱々としていた。OA化に伴い仕事が減少、若いOLたちに疎んじられる日々である。が、そんな彼女を部長の一言が変えた。「彼女らを指導してやってくれ」俄然、発奮した彼女は活気を取り戻すが…(「春愁」より)。OL、保母、美容師―働く女たちの哀歓を描く傑作サイコ・サスペンス。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ヴェネツィア
397
いずれも女性を主人公とする7つの短篇から構成される。「あとがき」によれば、著者のデビュー直後の作品も含まれるらしい。どれだろう?表題作?それとも「降りそうで降らなかった水曜日」?自信を持って判定できないということは、私の鑑識眼がないのか、それとも乃南アサの作品が一貫している(悪くすれば変りばえがしないということだが、それは違う)からなのか。「ばら色マニュアル」と「降りそうで…」は、やや作り過ぎだが、それらを含めて働く女性たちの姿がせつなくも愛おしい作品ばかりである。プロットは単純と言えばそうだが上手い。2022/11/04
アッシュ姉
77
働く女たちによるサイコ・サスペンス。会社や職場などの環境に馴染もうと努力し、何とかストレスをやり過ごしながら頑張っている。そんななか他人から無遠慮な視線や言葉を投げかけられたら、そりゃキレチャウネ。ぷつんと切れるか、ぱちんとスイッチ入っちゃうか。アパレルへ転職したOLと保育士の話が面白かった。全体的におとなしめだったので、もっと怖い話をよんでみたい。2020/03/10
さっこ
67
7話短編集。働く女性たちの心の奥に渦巻く嫉妬、哀歓。いや~な後味の残る作品。表題作の「来なけりゃいいのに」は早い段階で真相は分かるのだけれど、それでも一番面白かった。2021/07/10
キムチ
63
再読。 中年期、パートで疲弊が続いた時間に読んで毒消しに使った記憶。今読むと思い出す。人生、社会ってこんなもの・・って。表題が一番いいけど「〇〇いいのに」てな呟き感がどの作品にも塗り込まれて漆喰状っていうのがいいな。年取った分・・人生って、社会ってそんなもんだよなぁ‥人は外見じゃ、数回会っただけじゃわからんよなぁと。コメの粒 食っただけ、タヌキの皮を取り換えていってるんだなぁ~。乃南さん、短編の方が好き。この作品ジャンル 嫌ミスっていう冠は好きじゃない・・リアルが綴られているって思うもの2025/03/18
tengen
60
見栄を張った転職先のことがバレた。☆元彼が幸せな家庭を築いていた、可愛くない私は…☆彼女をたしなめるのだが異常なのは彼女ではなかった。☆幸せな会社生活、憧れの先輩、そしてアメリカ行きの打診が!☆生理が来ないと云った途端彼が遠ざかる、中学生のまゆの心は…☆彼の転勤について来ないかと言われるが私には4人の姉弟が重荷であった。☆私は会社になくてはならない人材、なのに優秀な新人が入ってきて…☆☆彡熱帯魚/最後のしずく/夢/ばら色マニュアル/降りそうで降らなかった水曜日のこと/来なけりゃいいのに/春愁/あとがき2018/09/26