内容説明
歴史上、つねに退廃と戦乱の陰に暗躍してきた異能の集団、鬼道衆。彼らは今、徳川政権を混乱、腐敗させるため田沼意次の台頭に加担し始めた。折しも全国に蔓延する大飢饉と百姓一揆の数々。この世に地獄を見せるのが目的か、それらも彼らの陰謀だった。時が満ち、やがて復活した盟主外道皇帝こそ、人類の歪んだ進化を促した創造主か。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
KAZOO
88
妖星伝文庫本の2冊目でここには単行本3冊目と4冊目の神道と黄道の巻が収められています。鬼道衆が仲間割れを起こしたり、力比べをして再度結集したりと動きがかなり早くなってきています。田沼に権力を集中させて徳川の世を終わらせようとする動きと、外道皇帝というほかの星から来た者たちを配置させて、さらには鬼道衆の敵対勢力として天童尼という人物が出てきたりと楽しめます。やはり江戸時代を舞台としたSFですね。2023/06/07
goro@the_booby
50
人のDNAの中にあり2千年の時を経て再生した外道皇帝。宇宙から追ってきた敵に皇帝を滅ぼすために生れ出たバグのような天道尼。黄金城の在処を求める鬼道衆。外道皇帝を守るため鬼道衆は天道尼に罠を仕掛けるが、天道尼もまた不可侵の体。食らい合わずには生きられぬ星で展開する闘い。ようやく辿り着いた黄金城。外道皇帝はこの星で何をしようとしたのか?メッセージとは何か?ようやく最終巻へ突入です。2021/06/27
ぐうぐう
30
伝奇とはいえ、時代小説にSFを持ち込むことは慎重さを伴わなければならない。侍の時代に、エスパーやUFOを登場させると、ちぐはぐさを助長させるし、何よりも安っぽくなってしまうのだ。けれど半村良は、『妖星伝』にSF的要素を存分に盛り込む。なぜなら、この小説には、外部の視点が必要だからだ。『妖星伝』の最大のテーマは、既成概念の転覆を図ることだろう。私達が信じて疑わない常識的概念を逆転させるには、外部の価値観が必要となってくる。半村良はそれを、補陀洛という異星人の目を通して地球を見ることで行うのだ。(つづく)2017/12/20
石油監査人
22
ここまで、1500頁を読み終えて、読書の体力が必要な本であると感じています。物語の方は、江戸時代の反社会的超能力集団である鬼道衆の内部抗争と妖術比べによる和解。その鬼道衆を抹殺するために生まれた天道尼の登場。さらに、黄金城の発見など、この第二分冊も盛りだくさんの内容です。この小説の特徴は、主人公らしき人物が存在しないこと、そして、登場人物の殆んどが悪人で、誰が最後まで生き残るのか分からない点です。従って、最後の決着の付け方が楽しみでもあり、不安要素でもあります。残りは、1000頁、なんとか頑張ります。2021/07/21
sayan
15
全3巻シリーズの2巻目。1巻目を読了したのが昨年の7月…結構な時間が空いてしまった。伝奇シリーズらしく読み手を選ぶ。好きな人はイメージしながらスイスイ読めてしまうが、そうでなければ早々に読み疲れが出てくる。1巻目の内容は、本作の主要キャラの「存在」をめぐる物語だった。2巻目は逆に周辺キャラの「根源」やそれぞれの「関係性」に焦点があたり物語の深みが増す。が、若干話の風呂敷が大きくなりすぎか…。そして物語はいよいよ最終巻へ。明石散人の世界観に馴染める人は本書こそ興味深く読み進めることができると思う。2018/03/25