内容説明
将軍家指南役柳生宗矩を父に、剣名を轟かせた十兵衛を長兄にもつ烈堂は欝々たる日々を送っていた。日本一の剣豪の家に生まれながら、父の遺命によって坊主にされたのだ。以来十四年、すでに十兵衛もこの世を去り、衰退を辿る江戸柳生家に一石を投じるべく僧衣を脱ぎ捨てたとき、烈堂は初めて十兵衛急死の謎と陰謀に触れた…。柳生一門からはぐれた男の苛烈な剣。
感想・レビュー
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二分五厘
24
柳生烈堂といえば、どうしても思い出すのは『子連れ狼』拝一刀の宿敵、裏柳生の総帥……え?実在の人物だったの?しかも出家した柳生四兄弟の末弟とは。仏門の修行を続けるも、鬱々とした暮らしを送る烈堂。剣の師から活を入れられ、己の剣に新たな息吹を入れるため、武者修行の旅に出る。だがその途上、兄十兵衛の死に疑問を抱いていく…。せっかく柳生を舞台にしているのに、宗矩・十兵衛等のビッグネームが既に他界している時代なので相手に小物感が(ラスボスは宗冬?)。烈堂に剣才があるとしても、サクサク極意を身につけていくのには違和感。2022/07/18
星落秋風五丈原
24
将軍家指南役柳生宗矩を父に、剣名を轟かせた十兵衛を長兄に持つ烈堂は鬱々たる日々を送っていた。日本一の剣豪の家に生まれながら、父の遺命によって坊主にされたのだ。以来14年、既に十兵衛もこの世を去り、47才の江戸柳生家当主・宗冬は騒ぎを起こす25才の弟烈堂に苦い顔。衰退を辿る柳生家に一石を投じるべく僧衣を脱ぎ捨てた時、烈堂はかつての師荒木又右衛門と再会する。又右衛門はかつて十兵衛に教えを請うた事があった。彼は修行したいという烈堂に、十兵衛の3人の高弟を訪ねてみてはどうかと言う。2003/07/04
旗本多忙
17
柳生烈堂といえば、裏柳生の総帥、悪の親玉としてのイメージが強い。これは子連れ狼での話だが、ここではどうなんだろう。柳生宗矩の四男として兄らと歳離れて生まれた烈堂。剣ではなく仏道に入れられる。長兄十兵衛、友矩は一目おく剣の使い手だが、早世したために三男の宗冬が大目付職につく。不行跡な烈堂を快く思わぬ宗冬は、折りあらば烈堂を斬れという。還俗した烈堂は、十兵衛の弟子荒木又右衛門から剣技を学ぶ。又右衛門は十兵衛の死の真相を語るが‥‥そこには十兵衛三高足と言われる弟子と宗冬の関わりが‥‥かなり面白いぞ!2018/09/06
再び読書
15
ご存知子連れ狼の悪玉、裏柳生の総帥列堂が実在の人物と分かり興味を持ったのがきっかけで、読み始めました。全く違う人物に描かれていましたが、魅力的に感じました。対照的に駄目だめに描かれている宗冬に同情したくなる面白く読めました2012/01/15
のれん
6
奇才とされた火坂雅志の代表作シリーズ。 荒々しいかぶき者の武者修行の旅は、今読んでも古くささを感じない。 あとがきでも面白い考察でホントにこんな人だったのかと思わせてくれる。 まさに時代劇の王道を感じる良作。2017/12/31