内容説明
柔道を世界に普及させることに命を懸けた青春時代。日本からの移民入植者の手助けに全力を注いだ後半世。前田が追い求めた「夢」はブラジルで開花した!第45回大宅壮一ノンフィクション賞(雑誌部門)受賞後、第1弾。
目次
1章 玖馬―一八九六「移民一世」
2章 東京―一八九九「講道館」
3章 華盛頓―一九〇五「日露戦争」
4章 紐育―一九〇五「異種格闘技」
5章 墨西哥―一九〇九「排日思想」
6章 伯刺西爾―一九二六「民族発展の地」
7章 亜馬孫―一九四一「巨星墜つ」
終章 亜馬孫―一九九五「心意気」
著者等紹介
神山典士[コウヤマノリオ]
1960年、埼玉県入間市生まれ。1983年に信州大学人文学部心理学科を卒業。1996年、『ライオンの夢コンデ・コマ=前田光世伝』で小学館ノンフィクション大賞優秀賞を受賞し、ノンフィクション作家としてデビュー。「異文化」「表現者」「アウトロー」を主な取材テーマとしている。2014年、週刊文春2月13日号にて作曲家・佐村河内守のゴーストライターをしていた新垣隆の独占インタビュー記事『全聾の作曲家はペテン師だった!』を発表し、第45回大宅壮一ノンフィクション賞(雑誌部門)を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
0607xxx
11
格闘技好きなら名前は知っているコンデ・コマこと前田光世について書かれた一冊。柔道を通して世界に羽ばたき、日本からの移民入植者の為に生きた後半世は知らなかったので興味深く読み進めました。しかし、格闘家としての部分が期待していたより、描かれていなかったのは正直、物足りなかった…2014/07/19
tsubomi
6
2015.08.15-09.18:アメリカで実践的武道ということで習う人が多いブラジル発のグレイシー柔術。そのグレイシー家の柔道の師とされる日本人がコンデ・コマこと前田光世。資料に乏しいので彼の周囲にいた人間や新聞記事等から拾った逸話が多いものの、講道館で柔道を修めた後は世界を転戦して勝利を重ね、最後はアマゾン河口のベレンに移住して日本人移民をサポートしたという人生。多くの人に影響を与えるようなまっすぐで清廉な人柄だったと推察されるエピソードが多く、当時の日本の移民政策の実態もわかって面白かったです。2015/09/18
Mituya Hasegawa
5
前田光世の柔道家としての素晴らしさは存じていたが、ブラジルでの移民事業への功績の高さまで走らなかった!2014/07/17
masa
5
まず、タイトルと内容は全くイメージが違います。また「木村政彦はなぜ力道山を殺さなかったのか」とかぶらせてしまう人も多いと思いますが、資料収集・関係者取材の深みや格闘技に対する思い入れ、人物の生涯を描き出すことに対する執念等、すべての面においてレベルが違います。そういう意味ではかなり物足りない印象が残る作品でした。2014/07/07
72ki
3
本書では前田光世が「国士」たることを理想とした、と何度も強調されているが、振り返ると現在の日本でそのコンデ・コマの志を継ぐような「国士」がいるかといえば・・・。千葉夫人による「ああいうお顔の男性は、最近では見かけなくなりましたね」(270p)という発言からも20年以上経過した日本で男の顔はどうなっているのか。自らは棚に上げつつ、この国の前途を憂う2016/03/12