内容説明
知られざる歴史的壮挙というべき大旅行がある。「岩倉使節団」の物語である。明治4年11月、廃藩置県という大変革を強行してからわずか4カ月後、明治新政府は右大臣岩倉具視率いる使節団を欧米諸国に派遣した。従うは大久保利通、木戸孝允、伊藤博文ら維新革命の立役者たち。幕末に条約を結んだ米欧12カ国へ、1年9カ月余りにも及ぶグランドツアーである。それは、「黒船」に象徴される西洋列強の圧倒的なパワーに対する、「誇り高き日本人」の華麗なるチャレンジであった。
目次
船出編(大いなる旅へ;思惑)
米国編(サンフランシスコ;大陸横断・蒸気車の旅 ほか)
英国編(大英帝国の首都・ロンドン;憲法・羅紗・鉱山 ほか)
欧州編(麗都・パリ;フランスの底力 ほか)
アジア・日本・帰国編(スエズ運河、紅海、インド洋へ;弱肉強食のモデル地帯を往く ほか)
著者等紹介
泉三郎[イズミサブロウ]
昭和10年生まれ。一橋大学経済学部卒。在学中に石原慎太郎らと南米大陸横断のスクーター旅行。事業の傍ら1976年から岩倉使節団の足跡を追う旅をはじめ、約8年で主なルートをたずね終える。その成果をもとに、数々の著作やスライド映像を制作。96年には「米欧回覧の会」を設立。また、『米欧回覧実記』の現代語訳を企画、DVD『岩倉使節団の米欧回覧』を制作(いずれも慶應義塾大学出版会)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
1 ~ 1件/全1件
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ゆずこまめ
4
いやー、すごい旅でした!こんなスケールの大きい旅(世界一周)に、若者だけではなく、国のトップが行っちゃう。新しい国を作るぞ!って意気込みが伝わってきますね。2014/03/28
kwmr_
1
岩倉使節団の2年近くに及ぶ欧米視察をつぶさに描いている。きめ細やかな描写は、著者自身が、使節団の足跡を自らの足でトレースした成果だと思う。この時代の第一人者たちは、欧米に対して何の気後れもなく、ほぼ正確に彼我の立ち位置を把握している点に感心した。今のどこかの政府の方がよっぽど卑屈に思える。2012/11/11