内容説明
1944年、太平洋戦争の末期、壮絶を極めたサイパンのタッポーチョ山での大場栄大尉らの512日にわたる戦いを、大尉自らの検証のもとに、敵であった元アメリカ兵が書き上げた迫真の実録フィクション。
目次
過去から来た男
戦禍
玉砕
行軍
敵陣突破
二人の赤ん坊
初めての掃討
コーヒー山の勝利
タコ山
米軍作戦部〔ほか〕
著者等紹介
ジョーンズ,ドン[ジョーンズ,ドン]
1924年、米国中西部に生まれる。大戦中、海兵隊員としてサイパン戦に参戦。戦後、GHQ民間要員として日本に3年間勤務。米国帰国後、新聞記者、NBC放送広報マンとして活躍。その後、再び国務省報道担当官として、日本、ブラジル、パキスタンに駐在した
中村定[ナカムラサダム]
昭和3年、静岡県生まれ。慶応大学経済学部卒業後、記者を経て翻訳者に(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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『よ♪』
47
大場栄大尉──太平洋戦争で大敗を喫したサイパン島戦線において、米軍占領後もわずか47人で抵抗し続け、数万の米軍を翻ろうした人物。"タッポーチョ"は大場隊が籠って戦い続けた山の名前だ。米国人から見た日本人像──ハラキリやバンザイ(岬からの身投げ)──とても不可解な生き物として映ったことだろう。でもその中に"英雄"がいた事実を特に日本の若い人たちに伝えなければ、と著者は言う。大場大尉は「自分は英雄などではない」と否定している。でも山を下りる投降シーン、その一糸乱れぬ行進のシーンにジンと来る。紛れもなく英雄だ。2022/08/16
かおりんご
40
大場大尉のサイパンでの活躍を小説化したもの。竹野内豊主演の「太平洋の奇跡~フォックスと呼ばれた男」は、この本をベースとして作られています。ほぼ映画の内容と同じ。だけど映画にはなかった、兵隊さんたちが現地の未亡人たちと暮らしていた話は、事実とはいえなんだかビックリで、衝撃で、ちょっと複雑な気持ちになりました。大場大尉は愛妻家だという話なので、別の本を読んでみようと思います。2014/02/23
Willie the Wildcat
31
長男の感想文サポートのため急遽読破。(笑)長男がこの本を選択したことが、良い意味で意外・・・。さて、本題。人間の本質を随所で感じる。最も印象に残るのが実は「妻、みね子との別れの回想シーン」。”糸くず”。当時の世相とはいえ、切ないと同時に愛情を感じる。次に、(多少の脚色があったとのことだが)民間人の保護、組織不在・火力不足など、極限下の状況での大場氏の精神力・判断力・行動力。最善を尽くしたリーダーのあるべき姿に脚色はない!蛇足だが、”記念品”。現実の一端ではあるが違和感。2012/08/26
ぴよこ
24
映画を先に観て、原作を読みたくなって読んでみた。少し映画は違かった。当時、このような事実があったとは!サイパンに行きたくなった。2022/10/17
yamatoshiuruhashi
24
サイパン島陥落後、残存兵を率い最後まで組織的に戦い抜いた大場栄大尉。タッポーチョと中心とする狭い地域で米軍を出し抜きながら長期間に、組織を維持しながら戦闘を続けたことは驚異的である。しかも保護を求めた民間人を劣悪な環境の中でも一つの社会として維持させ得たことも、今日の日本人は改めて知るべきであろう。当時、その兵士たちと闘う立場にいた著者が書いたものである。それゆえ大場大尉が事実と違うと言っていることも書かれているらしいのでノンフィクションには分類しない。2017/05/19