内容説明
「彼らが戦争に突入した主たる動機は、自衛のためだった」マッカーサーのアメリカ上院での証言は、東條英機が、東京裁判で供述した論旨とまったく同じだった!埋もれていた、第一級史料に眠る「歴史の真実」に迫る。
目次
第1章 昭和十五年の日本と世界
第2章 三国同盟
第3章 日米交渉と南部仏印進駐
第4章 第三次近衛内閣と日米交渉決裂
第5章 東條内閣成立
第6章 開戦
第7章 俘虜取扱いに関する問題について
第8章 大東亜会議
第9章 敗戦の責任
著者等紹介
渡部昇一[ワタナベショウイチ]
1930年、山形県生まれ。上智大学名誉教授。英語学、言語学専攻。1955年上智大学大学院修士課程修了後、ドイツ・ミュンスター大、イギリス・オックスフォード大へ留学。専門の英語学の分野では、ミュンスター大における学位論文「英文法史」で発生期の英文法に関する研究を発表、ドイツ語訳および邦訳も刊行された。1994年、ミュンスター大より名誉哲学博士号を授与される。文明、歴史批評の分野においても、幅広い活動を行なう。第1回正論大賞、第24回日本エッセイスト・クラブ賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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てつのすけ
18
東京裁判は、「裁判」と名がついているが、裁判ではない。そもそも、国際法において戦争が犯罪とはされていなか。また、裁判をする管轄権の問題もあった。この東京裁判という茶番劇により、日本国民は誤った認識を持ち、現在も大国に隷属してしまっている。本書により、正しい認識を持った日本国民が、一人でも多く増えるのを期待したい。2019/06/23
yuji
9
この本はこれまで多数の近代史書籍を読んできたが、この東条英機の東京裁判宣誓供述書を超えるものではないことがよくわかった。当事者の言葉で書かれたこの本はすべての日本人に読んでほしい。アウタルキーという言葉が出てくるが自己完結型国家とあり、ブロック経済にて持つ国が持たざる国を追い込んでいく。共同謀議をしたのは連合国側であり、終始自存自衛の供述に徹している。涙ぐましいほど米国に譲歩しても受け入れられず弾発性がゼロになる前に敗戦覚悟の戦争に突入した。宣戦布告通知を遅らせた外交官こそ切腹すべきに激しく同意。2023/09/02
Ohe Hiroyuki
6
東条英機を「東条さん」と親しく呼びかけながら、極東国債軍事裁判における東条英機の供述書を紐解く一冊である。文体は軽く、読みやすい一冊である。▼改めて読むと東条英機は、明治から続く大日本帝国の歴史の1頁に過ぎない存在であることが分かる。彼が首相になったときは、もはや我が国は窮地に追い込まれていたのであった。▼そこには、混乱こそあれ、我が国をどのようにかじ取りをするのかという戦略ははっきりとは見えず、故に戦術もまた刹那的なものになっていた。資料の揃った現代、我々が学ぶべきことは多い。2017/04/18
ZEPPELIN
5
東條英機視点による日本の戦争。この証言の全てを信じる気にはなれないが、東條さんが首相になった時にどれほどの選択肢があっただろうか。中国との戦争は何年も続き、ルーズベルトはその中国の市場を狙っている。資源のためには対米の開戦か、もしくは大人しく降参して堪え忍ぶのかの二択。マッカーサーの言う「security」を自衛と訳して良いのかは微妙だが、決断のポイントはあくまでも国内問題であったと思う。果たして東條さんだけを悪にして片付くような問題なんだろうか。ますます分からなくなってくる2015/05/18
結城あすか
3
東條自身の視点でどのように日本が戦争に進んで行ったかが述べられてる第一級の史料だにょ。被告が記した裁判の提出書類ということだから、ある意味で自己弁護に終始してるという側面を差し引く必要はあるだろうけど、東條自身の弁解よりも連合国に対する日本としての異議申し立ての性格が強いものになっているにょ。大東亜戦争を語るなら絶対に読んでおかなければいけない資料だと思うにょ。ま、東條もタイプとして平時の能吏ではあっても乱世の英雄ではないから、すべてを自分が引き受けざるを得なかったというのが悲劇だろうかにょ。2010/10/18