内容説明
「軒反り」の壮麗さ、「垂木」の美しさ、「桧皮茸」の幽寂…室生寺五重塔や唐招提寺宝蔵、薬師寺東塔など、40年以上にわたって文化財の保存修理に携わってきた著者が、古寺に込められた日本人の悠久の智恵を語る。
目次
1章 室生寺五重塔・千二百年の「生命」と「美」の秘密―小さな塔は「智恵の宝庫」だった(弘法大師が一夜で建てた五重塔;「目通り」一.四メートルの大木をなぎ倒した台風 ほか)
2章 古都・奈良に息づく「悠久の智恵」―世界に誇る「木の文化」の素晴らしさ(「唐招提寺」に残る平城京の痕跡;法隆寺よりは緩やかな「エンタシス」 ほか)
3章 歴史を映し出す「木造建築」の魅力―時代とともに姿を変え続ける建物を追って(創建当時からの変遷を推理する;辻褄の合わない部分を、いかに見つけるか ほか)
4章 千年後の日本に文化財を伝えるために―もう一度見直すべき「古からの慣習」(台風との不思議な「縁」;文化財保存技術者の一番大事な仕事とは ほか)
著者等紹介
松田敏行[マツダトシユキ]
1932年、奈良県生まれ。奈良県立吉野工業高校を卒業後、奈良県文化財保存課に勤務。93年に退職するまでの42年間、唐招提寺宝蔵や海竜王寺西金堂など、多数の文化財の保存修理に携わる。98年、台風で損壊した室生寺五重塔の修復工事を依頼され、2年後、見事に修復を果たす(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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