内容説明
聖徳太子はなぜすりこぎのような笏を持つか、なぜ塔には三重や五重があるか、ひな飾りはどんなふうに並べるか、神社にある丸い鏡と直線状の剣は何を意味するか、お露の牡丹灯籠はどんなかたちをしていたか、銅銭にはなぜ四角い穴が開いているか、風呂敷はなぜ正方形でないのかなど、かたちに注目して見た日本の伝統文化には、さまざまな謎がある。中でも伊勢神宮の屋根にある×印の千木と、鉄道の枕木のような鰹木のかたちにまつわる矛盾と混乱は、日本文化の基本に関わる問題をはらんでいるようである。本書では、そうした謎のいくつかに思いつくまま挑戦し、それを解くことによって、日本の伝統文化のねじれや歪みをいくらかでも指摘してみたい。
目次
牡丹灯籠の正体―キリコとは何か
ひっくり返った天円地方―古墳のかたちが意味するもの
ひな人形のうしろ姿―コンパスと定規のなれのはて
ねじれた伊勢神宮―神国を惑わす垂直と水平
都の条件―京を貫く垂直二等分線
大八島を支配する―古都の中心は六角形
蘇民将来が来た―角柱も円柱もみんなみんな魔除け
地球を守る晴明桔梗―鬼もこわがる星形五角形
竪穴式五角亭―古代住居は丸か四角か
畳の実力―天国は何畳敷か〔ほか〕
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ともとも
0
「なぜ夢殿は八角形か」の数字に着目した切り口とはまた別の観点。 〇☓△◇卍☆などの平面図から切子や五輪塔などの立体図まで、日本の伝統文化の中に見られる「かたち」に焦点を当てた考察を、著者一流のユーモア溢れる文章で綴っています。 単純な「かたち」のみならず、巴や源氏香などの紋章、黄金比や白銀比る、水平と垂直などなど、幾何学の概念をフル装備で屈指した豪華な内容。 眼に映っているはずなのに見えていないものを、クッキリとした輪郭で目の前に浮かび上がらせてくれること、請け合いです。2013/01/23