内容説明
本書は江戸時代から鎌倉時代へと遡ることで、日本史の“なぜ”を解明する好著である。
目次
第1章 「明治維新」と「フランス革命」の相違点
第2章 武士階級の没落を意図した徳川家康
第3章 なぜ、江戸時代が260年も続いたか
第4章 信長が戦国期を統一できた真相
第5章 室町・鎌倉幕府は「平家政権」だった
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
新父帰る
5
シリーズ3巻目。江戸から鎌倉まで遡る。江戸時代が何故260年も続いたのか、また何故滅んだのかについて分かり易く記述。江戸時代は貨幣経済と封建的土地経済のバランスの上に成り立っていたとして論述を進める。信長が中世的秩序を破壊し、秀吉は破壊から建設へと秩序を立て直して重商主義の下全国を統一。家康は冬夏の両陣で秀吉の勢力を一掃後に幕藩体制を確立。興味あるところでは、第二吉野政権の影響力をことさらクローズアップしている所、元寇が鎌倉幕府に与えた影響をネガティヴに捉えている所、著者が自説を遺憾なく発揮している所等。2018/07/29
脳疣沼
2
この巻では、なぜ江戸幕府は滅びたか?が一番大きなテーマかな。とても面白い。日本人は結果よりも動機の純粋性を重んじる、という言葉に考えさせられる。この習性が一貫して日本を突き動かしている気がする。特攻隊もそうだろう。昨今は、特攻隊は犬死にだったという言説も幅をきかせているので、結果を重んじるようになってきたのかな?まあ、著者の言う通り、短所は長所でもあるので、良し悪しはそう簡単には言えないが。2014/10/23
恵
2
思い込みによる間違いもあるけど、それを差し引いても面白いことに変わりない。後の時代の者が、真解明を知ってるのは当然だもの。2010/08/15
flying jellyfish
2
兎にも角にも「江戸時代」編が面白すぎた。「なぜ」江戸は265年も続いたのか。通り過ぎてしまいがちだが、冷静に考えると西暦の10%は江戸の時代だったのである。詳しくは本書に委ねるが、貨幣では無く米を機軸として政府を運用した事が超長期政権を作り続けた要因らしい。その他にも徳川家康の運営力のすごさが描かれている。もっとも十全、彼がそれを意図し、実際に効力を発揮したかは歴史に疎い者としては分かりかねるが、歴史のダイナミズムを感じられる本書は教養だけではなく、読み物として面白い一冊。2010/05/14
0363
2
本編はかなり論理がかみ合っていて読んでいて面白かった。「(勝てば官軍)という言葉もあるが、このように多岐にわたる価値観を身につけることも、歴史を読むうえで、もっとも大きな意義の一つであり、また楽しみだといえよう」という著者の言葉のとおりだと思った。」2009/10/05