内容説明
九州史田市で怪事件が続発した。元市役所職員が轢き逃げで死亡、会社社長が溜池で変死…。昆虫巡査こと向坊は、事件直後に姿を消した陶芸家蔓岡の跡を追い、彼が失踪前、玉虫を探し求めていた事実を掴んだ。やがて事件の背後に産業廃棄物業者と行政の癒着が浮上した時、蔓岡の女弟子康子が襲われ、向坊にも黒い罠が…。はたして蔓岡の行方は?妖しく輝く玉虫に秘められた謎とは…。山峡の陶芸の里を舞台に異色探偵・向坊の推理が冴える大好評“昆虫巡査”シリーズ待望の書下ろし第五弾。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
つちのこ
1
シリーズ5作目では主人公の向坊巡査は七川村を離れ、中垣町の駐在所に転勤していた。そして、「私」こと、矢張双は、ライターとしての仕事も軌道に乗り、東京と九州を行き来する生活になっていた。 作品の上梓は1996年となっているのでこれが最後の作品となるようだが、読者の本心としては、続けて欲しいところ。さて、例にもれず今回の主役の昆虫は、吉丁虫とも書く、あの美しい虹色の光沢をもったタマムシである。少年の日、クスノキがある神社の境内で美しく飛ぶ姿を見たことを、ふいに思い出した。(2002.4記)2002/04/16
kagetrasama-aoi(葵・橘)
0
昆虫巡査シリーズ第五作目。七川村かr向坊巡査、中垣に転勤しました。七川村には”昆虫館”を建設し、思い入れも合ったでしょうに、まあ、宮仕えなんですから仕方ありませんとん。作中に登場する”小鹿田焼きの里”はテレビで観たことがあったので、とても興味惹かれました。謎解きもさることながら、登場人物の行き末にすごく興味持ちました。向坊さんは淡々と定年まで生きていくでしょう。矢張さんは?結局異邦人で、東京へ帰るんですね。白石先生はどうなるんでしょうか?続編は無いでしょうから、人々が消えてしまうのが悲しいです。2016/03/14