内容説明
天正18(1590)年、江戸に入府した徳川家康は江戸改造を実施する。その後、秀忠・家光に受け継がれた都市計画は、平安京とは異なる「霊的な防衛構造」がいたるところに見られる。本書は、建築構造を専門とする著者が、長年の研究の末、江戸・東京に残された“徳川の仕掛け”を読み解く試みである。平安京と同じく四聖獣を土地に当てはめた「四神相応説」、富士の気を呼び込むために造られた江戸の「渦巻構造説」など、宗教と地理の観点から検証し、徳川家と怪僧・南光坊天海の真意を探る。はたして、徳川家が恐れたのは何だったのか―。江戸の町に隠された謎に迫る。
目次
第1章 都の守護システム
第2章 江戸の地形
第3章 江戸の霊的防衛
第4章 江戸の渦巻構造の謎
第5章 北斗七星が守る江戸の町
第6章 江戸の結界
著者等紹介
土方勝一郎[ヒジカタカツイチロウ]
芝浦工業大学建築学部建築学科教授。1955年、東京都生まれ。1979年、東京大学工学部建築学科卒業。1981年、東京大学大学院工学系研究科建築学専攻修了。博士(工学)。民間企業を経て、2013年より現職。専門は建築構造(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
kk
13
地形的な特徴を踏まえながら、風水や陰陽道の考え方に則った江戸の「霊的防衛」の工夫を解説。よくあるテーマかもしれませんが、著者は建築学の教授だけあって、クールな視線でこれまでの通説(?)にも吟味を加え、抑えたトーンでご自説を開陳されてます。「天門の道」や「鬼門角落」といった、オリジナリティ溢れる指摘もナイス。この手の本には好き嫌いが分かれがちと思いますが、kk的には知的好奇心の満足といった点でも楽しい読書体験でした。2021/04/13
ふたば
8
近所にあって、初詣に行ったり、正月飾りの回収をお願いしていた神社が実は江戸の霊的防衛を担う一つだったこと、何気なく暮らしている町がこんなにも考えに考えて築き上げられていたことに深く考えさせられた。外様や朝廷を牽制するために飾れるだけ飾った町ではあるが、徳川の世を長く続かせ、平和な時代を願うためには必要なことであったのだろう。江戸という町、ひいては東京が繁栄して行くために考えられた数々の仕込みはきっと今もこの大都会を守護していることだろう。2021/06/27
kazu4
6
門井慶喜の『家康、江戸を建てる』以来、江戸という町に興味を持った。更に、私用で浅草を頻繁に訪れるようになり、ますます興味を駆り立てられた。その興味に対して、ある程度埋め合わせをしてくれる本となったと言える。2021/12/19
Go Extreme
2
都の守護システム:風水 土地占い 四神相応説 鬼門・陰陽道 比叡山・最大の霊的防御装置 重層的な鬼門防衛 裏鬼門 代将軍 岩倉 江戸の地形:江戸改造 江戸出島 外堀川 日比谷入江 神田堀 海岸線の南下 佃島と石川島 江戸の霊的防衛:日光東照宮 表鬼門の霊的防御 裏鬼門の霊的防御 江戸の渦巻構造の謎:城塞構造 富士信仰 風水 北斗七星が守る江戸の町:将門ゆかりの神社 北斗七星説 江戸の結界:性と死・明と暗が対 吉原遊郭の誕生 結界を演出する吉原遊郭 街道のそばに置かれえた小塚原刑場 江戸の霊的防衛の全体像2021/04/29
lovejoy
0
★★★2023/07/11
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- 和書
- 理工系の微分積分学