内容説明
江戸には高札場が三十五カ所あった。そこに掲げられた御触書には、何が書かれていたのか?何が禁じられ、何が許されたのか?本書は一〇〇の御触書を解説し、そこから町奉行の政策と庶民の暮らしを考察したものである。為政者は禁令を乱発し、ほとぼりが冷めると人々はまた欲望のままに動き出す。その繰り返しから垣間見えるのは、お上と庶民の絶え間ない緊張関係だ。しかし、厳しいだけではない。災害が起これば救いの手を出し、凶悪犯捜査には懸賞金をつけた。非情と温情が交錯する御触書から、生々しい江戸の暮らしが甦る!
目次
第1章 自由と不自由―カタブツ幕府が躍起になった庶民の風俗・生活統制
第2章 珍事件・凶悪事件―治安管理にお上は大わらわ
第3章 災害救助―緊急事態!御触書が問う、時の幕府の真価
第4章 温情か、非情か―御触書に見る「庶民思い」と「庶民泣かせ」
第5章 旅の掟―まるで海外旅行!御触書が語る七面倒な旅事情
番外編 庶民にはわからない武士の世界―『武家諸法度』だけでない、御触書に見る武士の掟
著者等紹介
楠木誠一郎[クスノキセイイチロウ]
1960年、福岡県生まれ。大学卒業後、歴史雑誌編集者を経て作家となる。人気作家として多くの小説を上梓するとともに、題材を幅広く採った歴史関係の著作を数多く手がける(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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みこ
17
時代劇で見かけるお触書の実態について。薩長史観だと幕府は圧政を布いて庶民の生活を苦しめていたという印象を持ちがちだが、なかなかどうして勧善懲悪の要素が強かった様子が防災・防犯に関する触書から読み取れる。中には中学・高校の変な校則のようなものもあるが、感染症の概念もない当時に病気になったらしばらく休めとは江戸幕府ってホワイト企業?2020/04/29
我門隆星
1
ほぼほぼ見開き2ページで1話が終わるという、江戸時代の御触書に関するトリビア。満員電車でも、片隅で、何とか読める。ただし、どこぞの喫茶店で腰を落ち着けてじっくり読むには、少し不向きか。再読は、少々微妙。2019/11/13