出版社内容情報
AIを信じるか、神を信じるか(後述)
島田裕巳[シマダヒロミ]
著・文・その他
内容説明
AIの進化が著しい。AIは人間の知性・思考ではたどりつかない解決策を瞬時に提示するが、「なぜそうなるか」という困果関係を示すことはない。このAIの仕組みとよく似ているのが、既存の宗教が伸び悩むなか信者急増中のイスラム教だ。「なぜそうすべきか」と問うよりも、神への絶対服従が求められるからである。いっぽう、デジタル技術の発達は、従来の先進国とは異なる経済発展を可能にしたが、中国で急速に進む監視社会を生み、日本でも不気味に広がっている。はたして、人類はAIや神に思考を委ね、安全・便利な生活を選ぶのか。それとも自由や人権が守られた生活を選ぶのか―。
目次
序章 AIか、アッラーか
第1章 神としてのAI
第2章 世界に広がるイスラム教
第3章 無宗教者の「服従」
第4章 デジタル毛沢東主義
第5章 「自由」からの逃走
第6章 新たなる帝国の時代
終章 宗教なき世界
著者等紹介
島田裕巳[シマダヒロミ]
宗教学者、作家。1953年、東京都生まれ。東京大学文学部宗教学宗教史学専修課程卒業、同大学院人文科学研究科博士課程単位取得退学。放送教育開発センター助教授、日本女子大学教授、東京大学先端科学技術研究センター特任研究員を経て、東京女子大学非常勤講師(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
犬養三千代
14
2018年6月10日 島田裕巳 祥伝社 820円 なかなか刺激的な題名ではあるが、 どちらも信じないというところ。結果だけでプロセスの説明ができないAIは人類の役には立つが人類を凌駕しないだろう。それより、中国のデジタル体制は凄い。日本は二周おくれている。人は自由に慣れるとそこから逃走する?イスラム教は日本の戦後の新宗教と重なるそうだ。確かに移民と地方からの集団就職の人たちの頼りなさには力となったようだ。国家とは何だろうね。2018/11/17
うえぽん
8
2018年の著作であり、近時の生成型AI利用の急拡大前ではあるものの、宗教学者の意見として傾聴に値する。教皇に皇帝が屈したカノッサの屈辱と、AIも活用するプラットフォーマーに国家が翻弄される状況をパラレルに見る公法学者もいるが、本書は元来国民国家と相容れない「イスラムの家」の世界的拡大傾向にも警鐘を鳴らす。AIとイスラムの一つの共通点は、AIの出した結論や戒律が、なぜそうなのかの理由が不明(ブラックボックス)であること。SNSの短い映像は、単純解を求める若者等に人気だが、服従=安心への第一歩かもしれない。2023/07/17
おっくー
6
衝動買いした本。AIと宗教(イスラム教中心)についての本であり、共通点について考察しているため、表題の通り。特にイスラム教では組織の概念がないことに衝撃を覚えた。2018/06/27
Hiroki Nishizumi
5
興味深く読めたけど、AIはおまけだな。現代の宗教事情、政治と宗教との絡みは面白かった。2018/09/21
nnnともろー
4
AIとイスラム教、イスラム教とグローバリズムの親和性。自由に慣れた近代社会では逆に束縛を求めるようになる。2019/05/14