内容説明
家族は愛情と血縁で固く結ばれている。こうした思い込みにこそ、多くの危険が潜んでいる。当たり前だと思っている家族のあり方をどのように考え、いかにマネージメントしていけばよいのかを学ぶ必要があるのだ。本書では、「論理的思考」と「インセンティブ」をキーワードに、経済学をはじめ社会学、法学、心理学など多分野の知見を総合して、家族の問題を考える。
目次
第1章 なぜ結婚するのか
第2章 家族のガバナンス
第3章 夫婦関係をよく保つには
第4章 親子関係に特有の問題とは
第5章 祖父母と孫、そして親との三角関係
第6章 沖縄の家族問題から見えるもの
第7章 法律は家族を守っているか
著者等紹介
中島隆信[ナカジマタカノブ]
慶應義塾大学商学部教授、同大学産業研究所所長。1960年生まれ。慶應義塾大学大学院経済学研究科後期博士課程単位取得退学。博士(商学)。専門は応用経済学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
イビサ
11
家族というテーマに興味を持ったのは、下重某の「家族という病」という気に入らないタイトルの本が本屋に山積みされていた事に始まる。印税を払うのがシャクなので図書館で予約を入れたら200人待ちの状況。何故そんなに注目を浴びてるのか気になり、書評を見ると読メは割と穏やかだがアマゾンは金返せという評価ばかり。図書館の予約が多い理由は自分と同じ考えの人なのかと納得。しかしながら、本書は時代と共に家族の在り方も変化する中で、より良くする提案を論理的に説明してくれる良書です。沖縄の家族についての理解も深まりました。2015/08/22
まゆまゆ
5
家族をつくるということは誰からも教わっていない。ただ愛情と血縁だけで結び付いているものという思い込みがこれまでの日本では支配的であり、そのような思い込みに対して個人として家族とはどういうものかを学んでおく必要性を説く。恋愛関係を維持するにはコストがかかる。このコストを解消するために結婚するのだ、とは分かるようで分からない(笑)2015/03/16
乱読家 護る会支持!
3
日本の殺人で20%は親子間、15%は夫婦間。家庭が一番危険な場所。結婚は相手をつなぎとめるコストを削減させ緊張感を奪う。結婚相手は、愛情が利己的か利他的かで選ぶべし。オバサン化は、加齢とともに上昇する女らしさ維持コストが、女らしさメリットを上回った時に発生する。男性は加齢で外見が朽ちていくのに、男性ホルモンの分泌は落ちないこと。対処、オジサマ、オジイサン、ちょい悪オヤジ、、、、家族が上手くいくコツとして、利他心である事が何度も出てきます。利他心の育成には日本人が国家観と宗教性を取り戻すことと思います。2015/04/12
chippy
3
家族という組織についての洞察を語った一冊。愛という言葉では終わらない家族の絆の話。家族にとって子どもの位置付は夫婦関係を持続させるためのコミットメントで、消費財であり投資財であったり。利己的なのか他己的なのかであったり。愛がなくても結婚にしがみつくのは経済的な理由が大きな要因かもしれないし、女性ホルモンは減っても男性ホルモンは一向に減らないのが男の浮気の言い訳か。世界で見ると、日本の婚外子割合は驚くほど圧倒的に低く、日本では遺伝的繋がりを持ってこその家族という認識が強い。なかなか興味深く面白かったです。2015/03/12
ひめぴょん
2
日本の殺人事件の半数以上が親族がらみで家庭内は安全な場所とは言えないという意外に知らなかった話から始まります。結婚に関しては、恋愛関係維持のコスト削減につながるが、我慢という代償が必要。自分が喜んでいるとき相手も喜び、自分が悲しんでいるとき相手も悲しむ「利他主義」かどうかをチェックポイントとしています。とはいえ、きちんとチェックするとそういった人が独身となり、婚姻率の低下を招くかもしれませんので、個人的にはその時の「ノリ」で結婚してしまって、後で対処法を考えてもいいかなあと思っています。 2019/06/17