内容説明
「自他とも認める本読み」なのに、ちょっとした文章も書くことができない―。うまくまとめて書いたつもりが、読みにくいといわれた―。それは、あなたが日ごろ正しく文章を読めていないからである。文章のしくみや構成、言葉のかかり方を論理的に読みとることができていない。論理的に読めていないから、論理的に書くこともできないのだ。読むことと書くことは、表裏一体である。この原理がわかれば、誰でも無理せず「読める文章」が書ける文章講座。
目次
第1章 ちゃんと、読めていますか(直感的な「読み」;大人の智恵による「読み」 ほか)
第2章 人はどのように読んできたか(作品とテクスト;誰もが「思い入れ読み」で読んでいる ほか)
第3章 読むことは書くこと(恣意的かつ混成的な「読み」;書くことのメカニズム ほか)
第4章 書くことは読むこと(なぜ、ちぐはぐな文章を書いてしまうのか;「リレー作文」―文をつなぐ学習法 ほか)
第5章 それでも書けないという人へ(書くに値すること;書きながら、発見していく ほか)
著者等紹介
鈴木信一[スズキシンイチ]
1962年、埼玉県生まれ。横浜国立大学教育学部国語科卒業。現在、埼玉県の公立高等学校に勤務。2007年、早稲田大学文学研究科派遣研究員(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
KAZOO
138
私もかなり読むことはできるのですが、いざ書くとなると次から次へ書きたいことが頭の中で生まれ出てバラバラになってしまって何を書いているのかわからなくなる時があります。そのためにこの読メも最初はレビューを書かないでいたのですが、やはり少しでもわかりやすい文章の書く力をつけようと思い書くことにしています。高校の先生をしているせいか非常にわかりやすくきめ細かな指導の仕方をしているような感じを受けました。2016/01/10
井月 奎(いづき けい)
35
読むことは字を追うだけのことではない。わかっているようで、そうなってしまっていることが多いように思います。考えること、感じること、これを読み手が行わない限り少なくとも「良く読んだ」とは言えないのです。読む際に「この文は何を求めているのだろう?」と考えて読み、自分の思いと文章世界の狭間を味わう。そして読みよい、または読みにくいと感じるのは何によってなのか、それを考えるのです。感じたら考え、考えから感じる。それを繰り返して重層的な思考を持つように指南してくれて、文芸批評方法を豊かに使うやり方も学べます。2017/12/11
minimu
24
『800字を書く力』が面白かったのでこちらも読んでみた。「神田川」の歌詞の読み解きに始まり、田中慎弥さんの掌編や堀江敏幸さんの作品からの抜粋もあり、プロの書き手のすごさをあらためて思い知る(^^) ただ、たとえ作家であっても、文章に先立って全ての構想が決まっているわけではなく、書いているうちに次に何を書くかを決めていることもあるそうだ。エルサが未完成の階段を駆け上りながら、次の踏み板をその都度生み出していくような感じだろうか。2018/11/12
リキヨシオ
24
読む力と書く力は通じている。ただ本を読んでいるだけでは、書き始めた瞬間にその差がハッキリと表れる。「文章との正しい向き合い方」「書くことに通じる読み」について述べた1冊。誰もが思い入れで読み進めがちだけど、自分の知識によりかかるだけではなく、言葉と常識を基にした既知の情報から未知の情報を手繰り寄せるのが読みの本来の姿。そして「読み」で疑問と抱き、答えの予測を繰り返して「読み」の感度を上げる。「読み」の感度は「書く力」に繋がってくるとの事。「書きたいことを書くのではなく、書くべきことを書く」…まだ難しいな…2015/03/25
ささのは
20
この文があるなら、次の文は何か。この本によれば、そう推測しながら論理的に読むことで書く力もついてくるらしい。神田川の歌詞やごんぎつねの例文等から勉強する、学校の先生らしい本。考えてみれば、自分はそんなに理性的に読んでいない。自宅でくつろぎながらテレビに向かって好き勝手に言う人みたいに、読みたい所だけ読んでツッコミを入れたり笑ったりするような読み方だ。全部には賛同できないが、もっと深く読みたいし書きたいからこの読み方を意識してみようと思う。お気に入りの方のおかげで読めました。2015/12/19