内容説明
創造性とは発明発見の能力ではなく、問題解決能力のことであって、「創造」と「伝統(保守)」は互いに相絡みあいながら社会の発展に寄与する、という持論をもとに、真の民主主義的で、誰もが幸福に暮らせる社会がいかにして実現するかを説く。人類の文明史をたどり、KJ法が問題解決の手段としていかに有効かを説き、著者が一生かけて追究してきたテーマ「人類の幸福社会の実現」へと集約される大著『創造と伝統』(一九九三年刊)のなかから、序論であり総論ともいえる第1章を取り出し、新書化。
目次
序 私の人生背景と本書の出発点―現代文明の体質改善に必要なこととは(「世界を悩む」ということ;ゴルバチョフから学ぶべきもの;「世界全体を悩む」のが、人間の本性;探検家、フリーチョフ・ナンセンに学ぶ;恐るべき短調さは、人間をどう変えるか;ナンセンのヒューマニズム;愛国心と国際性は対立しない;「B29」を見ながら、思ったこと;チームワーク―軍隊と登山の経験から;単独行で鍛える;“人格主義”ではチームワークは育たない;「疾風怒濤」の姿勢で、現代文明を体質改善する)
1 創造的行為の本質―保守性と創造性という二つの原理の対立と循環(「ひと仕事」という創造的問題解決学;チームリーダーの条件とは;創造と保守は循環する;創造性とは本来、非合理なもの;創造的行為の定義―三カ条)
2 創造的行為の内面世界―創造的行為は、どのような過程を経て進行するのか(渾沌、出会い、矛盾葛藤、そして本然;デカルトとの違いについて;デカルト的パラダイムの限界;「世界外的認識」と「世界内的認識」;問題解決のケーススタディ;生命燃ゆ;馥郁と香る;雲と水と;愛と畏敬)
3 創造的行為の全体像―天命の聞こえてくる人、こない人の違いとは(全体状況と絶対感に基づいた行動;現代人こそ絶対感を感じるはず;天命を感じ、絶対感で事を行なう;絶対的受け身から、真の主体性が生まれる;創造性がないと楽しくない;心情陶酔のもんぢあ点;KJ法の誤った使われ方―現実感を取り戻せ;郷愁と探検は、相反するようで通ずる;ふるさとは過去にのみ存在するのではない;創造的行為がふるさとを生む)
4 「伝統体」と創造愛―創造愛の累積によって、組織は伝統体となる(創造的行為によって自らが変わる;伝統とはリアルな現実である;個性的な組織「伝統体」を見直せ;西欧文明=征服者思想の終焉;「人は城…」―協力なチームを作る条件;創造愛を発展させる縁)
著者等紹介
川喜田二郎[カワキタジロウ]
1920年、三重県生まれ。1943年、京大文学部史学科卒。理学博士、東京工大名誉教授。ネパールをはじめとするアジア各地での民族地理学・文化人類学的な長期的研究をもとに、野外科学の方法論を確立する一方、問題解決の民主的、効率的方法論としてKJ法を創始。教育論・文明論についても、豊富な実践経験をもとに幅広い議論を展開。2009年死去(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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退院した雨巫女。
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