内容説明
日本神話の神さまたちは、なぜわかりづらいのだろうか。日本神話の神々は、みな人間的で親しみやすい存在だ。けれども、一人の神さまにいろいろな性格と役割が与えられていて、うまく一つのイメージにまとまらない。スサノオノミコトは凶暴なのか優しいのか、首をひねってしまうのだ。著者は神々の本当の姿を求めて日本神話の舞台となった聖地を訪ね歩いた。神々は聖なる土地でどんな役割を果たし、どのように愛されてきたのか。出雲、高千穂、伊勢…。著者はその地で、いまも生き生きと語られ続ける神々たちの姿に接した。知っているようで知らなかった古代の神々たちの顔が見えてくるとき、誰もが心の霧が晴れる思いがする。それは、日本人の遙かな源が見えた気がするからだろう。
目次
第1章 八百万の神々とヒトの世界
第2章 八百万の神々の誕生と国生みの神話
第3章 黄泉の国と高天原の三貴神
第4章 神話の国、出雲のスサノオとオオクニヌシ
第5章 神々は高千穂の峯に降臨した
第6章 天上界の女神、アマテラスの孤独
第7章 八百万の神々と日本人の精神構造
著者等紹介
井上宏生[イノウエヒロオ]
1947年、佐賀県生まれ。皇學館大学を中退後、週刊誌・月刊誌等の記者を経て、ノンフィクション作家となる。カレー、スパイスの歴史研究の分野でも知られる(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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編集兼発行人
3
我国の神話における神々に関する考察。伊勢出雲高千穂など舞台となった場所を巡りながら登場人物の関係や遣り取りを平易な言葉で解説するという構成。何がしかの自然現象を織り込んでいると思しき象徴的な性交と其の結果が齎す幸不幸との(何処か御都合主義を孕みつつ)連続的な展開により国体としての構えが徐々に生成されてゆく模様(或いは生成しようとする意図)を感受。生まれながらにして能力的に劣後する者や手に負えない程の荒くれ者などが殆ど無色透明な存在として描かれた最高神を権威付ける脇役として物語の内部に回収される構造と理解。2014/10/19
のすけ
1
日本の宗教観を考えるのに参考になった。2016/07/18